「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】カンピロバクター感染症30歳女性発熱血便・38度の発熱・突き刺すような腹痛…「あの日の自分を殴りたい…」ササミとレバ刺し食べて猛反省(経験談再掲)

春の大型連休を迎え過ごしやすい季節となりました。しかし、「食中毒」については、引き続き、注意が必要です。一般に、細菌性の食中毒は、夏に増えますが、6月から9月末までを食中毒予防期間とし、食中毒への注意を呼び掛けている自治体もあります。厚生労働省によると、日本における細菌性食中毒の中で近年、もっとも多く報告されているのが、カンピロバクターを原因とする食中毒です。主な原因と推定される食品、または感染源として、生の状態や加熱不足の鶏肉、調理中の取り扱い不備による二次汚染などがあげられています。
「感染症・予防接種ナビ」にも、カンピロバクター感染症と診断された方からの、経験談が寄せられています。

【2024年】4月に注意してほしい感染症!RSウイルス感染症徐々に増加 麻しん(はしか)流行に注意 医師「春休み明けもインフルエンザ下がり切らない懸念」

熊本県・30歳経験談

9/23(金)居酒屋でササミなど数本とレバー刺食べる。
9/24(土)、25(日)、26(月)通常通りの日常を送る。
9/27(火)深夜、勤務中に突然悪寒が始まる。同時におなかに違和感がある。ここですぐにレバ刺しを食べたことに気づき猛反省するも時すでに遅し。経口補水液がものすごく美味しく感じがぶ飲みしてしまう。それと共に下痢との長い戦いもスタート。トイレに行くたびに経口補水液をがぶ飲みし脱水を防ぎながら菌を洗い流す作戦で応戦。熱に対してはもうこれ以上上がらないってところでアセトアミノフェン400mg内服し難なく解熱。途中コロナ抗原検査行い陰性を確認。朝、自宅に帰ってからもひたすら経口補水液を飲んでトイレに行くを繰り返す。日中にかけて再び38度台まで熱が上がる。自然に解熱するのを耐える。この時は発熱が辛すぎてお腹の痛みなんて気にならなかった。トイレは10回以上行ったと思う。もちろん下痢。
9/28(水)熱も下がりすっきり起きれる。起き上がった途端頭痛が始まりアセトアミノフェン400mg内服する。昼うどんとご飯を食べる。まだトイレとはお友達状態。夕方出勤し、トイレに行くと血便が出てることに気づく。嘘だと思い1度スルーしたが再びトイレに行った際にもやはり血便。そしてまた悪寒が始まる。体温測り38.2度。アセトアミノフェン400mg内服してやりすごす。
9/29(木)倦怠感で布団の上から動く気にならない。発熱はなし。昼はうどんとご飯を食べる。血便はおさまりつつあったが前日に血便が出たこともあり、午後胃腸科を受診。血液検査行いCRPが4(正常値は0.3以下)まで上昇。エコーでは腸管の浮腫。食歴通り食あたりで間違いないだろうと。普通の体型、基礎疾患がない方には何も処方はないですとのことで処方はなし。脱水を補う点滴のみしてもらい帰宅。
9/30(金)発熱はなし。これまでの発熱で全然気にならなかった、突き刺すようなお腹の痛みが目立つようになる。1時間に2回ほどの波のある痛みに悶え苦しみ1日を布団で過ごす。昼はオムライスを食べることができた。トイレは5回ほど。血便は改善。
10/1(土)勤務中も冷や汗が出るほどの突き刺すような腹痛の波があるもののなんとか勤務できる。この日のトイレは1回。
10/2(日)深夜からの勤務で腹痛はあるものの通常どおり勤務はできる。これまでにトイレ3回。ようやく治りかけている現状に嬉しさ噛み締め働くことに感謝ができるほどにまで回復。何度かこのような感染性胃腸炎になったことはありますが、原因が特定できるのは初めてで悔しさしかありません。あの日の自分をぶん殴りたいです。そして、もう生の鶏を食べることはないでしょう。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「カンピロバクターによる、食中毒の報告例は夏場が多いですが、年間を通して発生しています。診断については、何を食べたかが判断の目安となります。主な原因とされる鶏肉を生や半生、加熱不足の状態で食べるのは、感染のおそれがあるため、危険です。また、症状が回復した後、しばらくして『ギラン・バレー症候群』を発症することもあります。ギラン・バレー症候群にかかると、手足のしびれや麻痺が起こります。ある日、脚からしびれ、突然、立てなくなるケースが多いです。私は、絶対に食べません」としています。

まとめ

自責の念がこもった経験談でした。厚生労働省では、飲食店向けにリーフレットを作成し、鶏肉が「新鮮だから安全」ではないことを強調しています。生や半生、加熱不足の鶏肉料理がカンピロバクター食中毒を引き起こすおそれがあるとして、注意するよう呼びかけています。家庭でも、鶏肉の生食は避け、調理の際は中心部までしっかり加熱するよう、気をつけましょう。

感染経路

食中毒集団発生で原因食品が判明した事例では、肉類が最も多く、大半は鶏肉およびその内臓肉です。一方、牛レバーの生食による例も見られます。しかし実際の食中毒事例では、少数菌でも感染が成立すること、潜伏期間が比較的長いこと、通常大気中では死滅しやすいことなどの理由から感染源の特定は極めて困難です。その他に、ペットからや、乳幼児収容施設での流行など、ヒト‐ヒト感染、井戸水、湧水および簡易水道水を感染源とした水系感染事例もあります。海外での旅行者下痢症の原因ともなります。

症状

主な症状は胃腸炎で、潜伏期間が2~5日間と他の胃腸炎よりやや長いことが特徴です。汚染食品中ではあまり菌が増殖せず、かつ少量の菌数でも発症するため、潜伏期間が長くなるのは摂取菌数の差によると考えられています。症状は下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒と酷似していますが、カンピロバクターは1日最高便回数が多く、血便を伴う比率も高いことが特徴です。発熱を伴うことが多く、改善病日でみるとカンピロバクターはサルモネラと比較して早く回復します。胃腸炎の局所合併症として胆嚢炎、膵炎腹膜炎などがあります。まれですが腸管外感染として菌血症、髄膜炎などがあります。

予後

一般的な予後は、一部の免疫不全患者を除いて死亡例も無く、良好な経過をとります。しかし、近年感染後1~3週間(中位数:10日間)を経てギラン・バレー症候群(GBS)を発症する事例が知られてきました。GBSの罹患率は諸外国でのデータでは、人口10万人当たり1~2人とされています。日本での発生状況については報告システムがなく実数は不明ですが、年間2,000人前後の患者発生があるものと推定されています。カンピロバクター感染症に後発するGBSはこれまで散発例として確認されてきましたが、1999年12月東京都において、カンピロバクター集団食中毒患者19名中、1名のGBS患者の発生が確認されました。

治療

一部の免疫不全者を除き予後は良好で、軽症例では抗菌薬治療なしでも自然に軽快することも多くあります。急性腹症、他の原因による急性胃腸炎、食中毒などと見分けながら食事療法、脱水の予防・治療などを行います。整腸剤は投与しますが、腸管蠕動(ぜんどう)を抑制するような薬剤は使用しないのが原則です。感染性は下痢急性期に高く、2~3週間排菌が持続しますが、有効な抗菌薬が投与されると排菌期間が短縮され、2~3日で感染性が失われます。

予防

カンピロバクターは、低温環境下で、より長時間生存できるため、冷蔵庫を過信してはいけません。加熱には弱いので、食品の正しい加熱調理に努めるとともに、調理などの過程で他の生鮮食品や調理器具の汚染に注意しましょう。鶏肉などを取り扱う場合は調理する人の手洗い、まな板などの調理器具を清潔に保ちましょう。特に乳幼児には鶏刺し、砂ずり刺し、牛レバー刺しなどの生食はさせないようにすることが重要です。食中毒が疑われる場合には、24時間以内に最寄りの保健所に届け出ましょう。

引用:国立感染症研究所ホームページ「カンピロバクター感染症とは」
取材:大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2024年4月期

RSウイルス感染症
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
新型コロナウイルス感染症
麻しん(はしか)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)

流行の様子

RSウイルス感染症 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 麻しん
 

RSウイルス感染症

報告数
北海道
267
青森
3
岩手
8
宮城
39
秋田
4
山形
15
福島
54
茨城
48
栃木
54
群馬
92
埼玉
295
千葉
116
東京
425
神奈川
280
新潟
49
富山
24
石川
48
福井
91
山梨
9
長野
33
岐阜
55
静岡
80
愛知
182
三重
99
滋賀
36
京都
144
大阪
774
兵庫
222
奈良
142
和歌山
26
鳥取
2
島根
17
岡山
14
広島
97
山口
107
徳島
37
香川
18
愛媛
51
高知
16
福岡
120
佐賀
22
長崎
27
熊本
31
大分
11
宮崎
64
鹿児島
75
沖縄
25
RSウイルス感染症は、乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。感染経路は、飛沫感染や接触感染です。お子さん向けのワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、マスクの着用を徹底しましょう。家族以外にも保育士など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

流行は、今後、落ち着きをみせると思われますが、水準的には、減り切っていないため、2024年4月以降も、しばらく、患者発生動向には注意していく必要があると考えています。また、4月から、新型コロナウイルス感染症に関する特例措置が終わり、通常の医療提供体制へ完全に移行します。これにより、新型コロナワクチンの特例臨時接種(無料)も3月末で終了し、4月からは自費での接種となります。また、治療薬の薬剤費や入院医療費についても公費の負担が3月末で終了し、他の疾病と同様に医療費の自己負担割合に応じた通常の窓口負担になります。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

麻しん

麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人のみに感染するウイルスであり、感染発症した人から人へと感染していきます。感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫がない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。現在ではビタミンAが不足すると麻しんの重症化を招きやすいことが知られており、発展途上国ではその死亡率が10~30%に達する場合があると言われています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道・・・
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厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道府県で前週(第13週)より少なく、10を超え る県は山形11.47と新潟10.25だけです。感染症 に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の 安井良則医師は「インフルエンザの全国の定点当たり報告 数は、前週と比較しても半分以下となりました。しかし、 この第14週は学校や幼稚園・保育園などが春休みの時期 と重なっています。インフルエンザ定点は小児科が多いた め、長い休みの影響を受けます。流行の傾向は次の15週 16週の数字を見ないとわからないでしょう。通常、イン フルエンザは短期間に大きな流行の山を作ります。今シー ズンは爆発的な流行はなかったものの、患者は長期に渡り 出続けていたため、患者数はこの10年で最多となってい ます。本来であれば夏頃はインフルエンザの患者はほとん ど出ないのですが、今後も要警戒だと思っています」
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