感染症ニュース

【感染症ニュース】風しん・先天性風しん症候群 国立感染症研究所「風疹急増に関する緊急情報:2019年11月13日現在」全文

 国立感染症研究所 感染症疫学センターは、2019年11月19日「風疹急増に関する緊急情報:2019年11月13日現在」を公開しました。その全文を掲載します。

 風疹流行に関する緊急情報:2019年11月13日現在
 国立感染症研究所感染症疫学センター

2019年第45週の風疹報告数

 2019年第45週(11月4日〜11月10日)に3人が風疹と診断され報告された。遅れ報告も含めると、第1〜45週の風疹累積患者報告数は2,260人となり、第44週の2,256人から4人増加した(図1、2-1、2-2)。なお、第45週に診断されていても、2019年11月14日以降に遅れて届出のあった報告は含まれないため、直近の報告数の解釈には注意が必要である。

先天性風疹症候群の報告数

 2008年の全数届出開始以降の風疹ならびに先天性風疹症候群の報告数を示す(図3)。2014年の報告以降、先天性風疹症候群の報告はなかったが(http://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/700-idsc/5072-rubella-crs-20141008.html)、2019年第4、17、24、44週に各1人、合計4人が報告された(報告都道府県:埼玉県1人、東京都2人、大阪府1人、推定感染地域:埼玉県1人、東京都2人、大阪府1人、性別:男3人、女1人、母親のワクチン接種歴:有り(回数1回、接種年不明、種類不明)1人、不明3人、母親の妊娠中の風疹罹患歴:有り1人、不明2人、無し1人)。

2013年以降の風疹報告数

 2013年(14,344人)の流行以降、2014年319人、2015年163人、2016年126人、2017年91人と減少傾向であったが(図2-1,2-2,3)、2018年は2,946人が報告され、2019年は第45週時点で2,260人が報告された(図1,2-2,2-2,3)。

地域別報告数

 地域別には東京都(845人:第44週から2人増加)、神奈川県(289人:第44週から増加なし)、千葉県(196人:第44週から増加なし)、埼玉県(195人:第43週から増加なし)、大阪府(128人:第44週から1人増加)からの報告が100人以上と多い(図4、7)。第45週は上記都府県以外に、複数報告された自治体はなかった(図5)。人口100万人あたりの患者報告数は全国で17.8人であり、東京都が62.5人で最も多く、次いで島根県43.2人、佐賀県38.4人、神奈川県31.7人、千葉県31.5人、埼玉県26.9人、福井県19.1人、福岡県16.7人が続いた(図6)。関東地方からの報告数が1,564人(69%)で最も多いが、近畿地方から248人(11%)、九州地方から167人(7%)、中部地方から119人(5%)、中国・四国地方から96人(4%)、北海道・東北地方から66人(3%)が報告された。報告がないのは青森県、高知県の2県である(図4,7)。

症状(重複あり)

 多い順に発疹2,229人(99%)、発熱2,006人(89%)、リンパ節腫脹1,307人(58%)、結膜充血1,051人(47%)、咳558人(25%)、関節痛・関節炎538人(24%)、鼻汁491人(22%)、血小板減少性紫斑病7人(0.3%)、脳炎1人(0.04%)であった。その他として、咽頭痛40人、頭痛39人、倦怠感24人、下痢・水様便・軟便10人、硬口蓋/口蓋粘膜の点状出血8人、血小板減少6人、白血球減少3人、肝炎・肝機能障害3人、髄膜炎1人、肺炎1人等が報告された。発熱、発疹、リンパ節腫脹の3主徴すべてがそろって報告されたのは1,168人(52%)であった。

検査診断の方法(重複あり)

 ウイルス分離25人(1%)、1Eが4人、2Bが2人であった。PCR法によるウイルス遺伝子の検出1,312人(58%)、この内593人については遺伝子型が検査されており、1Eが527人、2Bが35人であった。血清IgM抗体の検出は1,191人(53%)で、この内、ウイルス遺伝子と血清IgM抗体の両方が検出された者は408人(34%)であった。ペア血清による風疹抗体陽転または有意上昇は54人(2%)であった。また、麻疹(臨床診断例)として保健所に受理された後、地方衛生研究所でのPCR検査で、麻疹ウイルス陰性・風疹ウイルス陽性となり、風疹(検査診断例)に届出が変更になった症例もあった。

推定感染源

 推定感染源は、2,260人中、特に記載がなかった者が1,625人(72%)と最も多く、不明・不詳・情報なしと記載された者が204人(9%)であった。また、何らかの記載があった男性333人の内、職場/会社の同僚/上司・職場/会社で流行・仕事等、「職場」と記載があった者が198人で最多で、この内33人は、職場内で流行あるいは複数名の発症が記載されていた。次に家族36人(父9人、兄弟7人、妻5人、姉妹5人、母3人、子2人等)、友人・知人28人であった。何らかの記載があった女性98人の内、家族(夫14人、子12人、兄弟7人、姉妹5人、父4人、母4人等)と記載があった者が53人で最多で、次に職場/会社の同僚/上司・職場/会社で流行等、「職場」と記載があった者が28人で、この内4人は、職場内で流行あるいは複数名の発症が記載されていた。友人・知人は7人であった。何らかの記載があった小児38人では、家族(父8人、兄7人、母6人、姉妹4人等)が26人と最も多く、次に学校が4人、友人・知人6人で、職場が1人であった。

職業

 2018年1月から届出票に追加された職業記載欄では、会社員と記載されていた人が828人(37%)と最も多いが、配慮が必要な職種として医療関係者が33人(看護師10人、医療事務5人、薬局勤務4人、医師3人、作業療法士2人、看護助手2人、歯科医師1人、薬剤師1人、歯科助手1人、歯科医院勤務1人、検査技師1人、医療従事者2人)、保育士が12人、教職員が15人、警察官・警察署員が10人、消防士・消防署員が7人、自衛官・自衛隊員が7人報告された。

年齢・性別

 報告患者の95%(2,138人)が成人で、男性が女性の3.7倍多い(男性1,777人、女性483人)(図8,9,10)。男性患者の年齢中央値は40歳(0〜76歳)で、特に30〜40代の男性に多く(男性全体の60%)(図8)、女性患者の年齢中央値は30歳(0〜76歳)で、特に妊娠出産年齢である20〜30代に多い(女性全体の64%)(図9)。

予防接種歴

 予防接種歴は、なし(477人:21%)あるいは不明(1,568人:69%)が90%を占める(図8,9)。また、接種歴有り(215人:10%)と報告された者のうち、接種年月日、ロット番号ともに報告されたのは36人、接種年月日のみが報告されたのは38人、接種年月のみが報告されたのは1人、接種年のみが報告されたのは3人であった。接種年月日・ロット番号ともに不明が137人であった。

推定感染地域

 推定感染地域は国内が1,753人(78%)と最も多く、国内・国外不明451人(20%)、国外45人(2%)、国内または国外11人(0.5%)で、国外での感染は少ない(図11)。

第5期定期接種

 風疹第5期定期接種対象の昭和37(1962)年4月2日〜昭和54(1979)年4月1日生まれの男性(図12)は、積極的に風疹抗体検査を受け、検査結果に応じて予防接種を受けることが勧奨されている。

 対象者に対しては、市町村からクーポン券が送付されるが、まず1年目(2019年度)は、昭和47(1972)年4月2日〜昭和54(1979)年4月1日生まれの男性にクーポン券が送付される。厚生労働省の発表(2019年10月29日)によると、2019年度にクーポン券を発送予定の約646万人のうち、4〜8月にクーポン券を使って抗体検査を受けた人が729,533人(クーポン券発送予定者の約11.3%)、4〜8月にクーポン券を使って予防接種を受けた人は140,597人であった(クーポン券発送予定者の約2.2%)。各都道府県別のクーポン券使用者数を下記に示す(図13,図14)。なお、クーポン券が未送付であっても、市町村に希望すれば、クーポン券を発行し抗体検査を受検できる。風疹抗体検査・風疹第5期定期接種受託医療機関については厚生労働省のホームページ(「風しんの追加的対策について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html)を参照のこと。風疹はワクチンで予防可能な感染症である。

<※本文に添付の図は、出典先のpdfをご覧ください>
▼出典 国立感染症研究所 感染症疫学センター
「風疹急増に関する緊急情報:2019年11月13日現在」2019年11月19日掲載
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/2019/rubella191113.pdf
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2019年11月期

インフルエンザ(季節性)
ノロウイルス感染症
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
咽頭結膜熱

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2019年第45週(2019年11月4日〜2019年11月10日)

流行の様子

インフルエンザ(季節性) ノロウイルス感染症 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 咽頭結膜熱
 

インフルエンザ(季節性)

1〜4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快しますが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染です。他に接触感染もあるといわれています。
インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。インフルエンザの感染対策とてしては、飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト―ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

ノロウイルス感染症

例年11月に急激に増加し、12月にピークを迎えます。11月はノロウイルス感染症に注意が必要です。
主な症状は、はき気、おう吐及び下痢です。通常は便に血液は混じりません。あまり高い熱とならないことが多いです。小児ではおう吐が多く、おう吐・下痢は一日数回からひどい時には10回以上の時もあります。
感染してから発病するまでの「潜伏期間(せんぷくきかん)」は1〜2日と他の感染症と比較して短い方であり、症状の持続する期間も数時間〜数日(平均1〜2日)と比較的短期間です。
既に他の病気があったり、大きく体力が低下している等がなければ、重症化して長い間入院しなければならないことはまずありませんが、ごくまれにおう吐した物を喉に詰めて窒息(ちっそく)することがありますので注意してください。

情報元:日本学校保健会
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

12月のピークに向かって患者報告数が増加していくことが予想されます。今後とも溶連菌感染症の患者数の推移には注意が必要です。 溶連菌感染症の症状が疑われる場合は、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。溶連菌感染症と診断され、抗菌薬が処方された場合は、医師の指示に従うことが重要です。途中で抗菌薬をやめた場合、病気の再燃や糸球体腎炎などの合併症を来すことが知られています。
溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が現れることは少ないといわれています。症状としては2〜5日の潜伏期間を経て、38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症し、しばしばおう吐を伴います。
また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発しんが広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。
主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染は稀とされていますが、患者もしくは保菌者由来の口腔もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。発症者に対しては、適切な抗菌薬による治療が開始されてから48時間が経過するまでは学校、幼稚園、保育園での集団生活は許可すべきではないとされています。
情報元:IDWR2019年第45週(2019年11月4日〜2019年11月10日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

咽頭結膜熱

咽頭結膜熱は、別名プール熱とも呼ばれています。例年、6〜7月と12月を中心に流行のピークを迎えます。発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)の3つが主な症状です。通常感染してからの潜伏期間は5〜7日。症状がある期間は3〜5日といわれています。咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染です。また、飛沫感染もあります。
原因ウイルスは、アデノウイルスで、感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が広がります。
アデノウイルスは、環境中で数日間活性を保っているため、施設やご家庭などで患者が発生している場合は、皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行うことも重要な感染対策となります。
なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。
情報元:IDWR2019年第45週(2019年11月4日〜2019年11月10日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防
すこやか2019 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
2019−2020年シーズンのインフルエンザ情報は、 11月下旬から配信予定です。 (更新:2019/10/31)
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2019−2020年シーズンのインフルエンザ情報は、 11月下旬から配信予定です。 (更新:2019/10/31)
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