「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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【腸管出血性大腸菌感染症】患者報告数が増加 肉を食べた後の激しい下痢に注意を

 国立感染症研究所の2022年第19週(5/9〜15)IDWR速報データによると、腸管出血性大腸菌感染症の患者報告数が先週よりも増えています。先週の2022年第18週(5/2〜8)までの累積患者報告数は全国で285人でしたが、今週は352人となっています。

 腸管出血性大腸菌感染症の主な感染経路は、菌に汚染された生肉や加熱が不十分な肉、菌が付着した飲食物からの経口感染、接触感染です。感染すると3〜5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後、血便が出るケースもあります(出血性大腸炎)。

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師によると、「腸管出血性大腸菌感染症は、例年は8月〜9月に流行のピークを迎える感染症です。国立感染症研究所の2022年第19週のデータでは、急に報告数が増えており、注意が必要です。GW明けに患者報告数が増えていることから、バーベキューや飲食店など外で食べる機会が増えたことも関係しているかもしれません。肉を生食や、生焼けで食べないようにしてください。しっかり中まで火を通して食べるようにしましょう」と注意を促しています。

腸管出血性大腸菌感染症の症状と合併症

 感染後3〜5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後で血便となります(出血性大腸炎)。発熱は軽度です。血便は、初期段階では少量の血液の混入で始まりますが、次第に血液の量が増加し、典型例では血液そのもののような状態となります。

 発病者の6〜9%では、下痢などの最初の症状が出てから5〜13日後に溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症をきたすことが知られています。HUSを合併した場合の致死率は3〜5%といわれています。

腸管出血性大腸菌感染症の感染経路と対策@

 主な感染経路は、腸管出血性大腸菌によって汚染された食材や水分を経口摂取することによる経口感染です。

 例年、腸管出血性大腸菌の感染者の報告数は、0〜4歳児が最多です。5〜9歳がこれに次いで多い状況です。感染後の発症率も9歳以下は80%前後と高くなっています。

 牛の生肉や生レバーなどの内臓は、腸管出血性大腸菌の感染の可能性があるので食べるべきではありませんが、特に保育所に通っている年齢群の乳幼児では厳禁です。特に高齢者や乳幼児と日常的に接触する職業や立場の人(家庭も含めて)、あるいは免疫力の低下した人と接触する職業・立場の人は厳に慎むべきです。

腸管出血性大腸菌感染症の感染経路と対策A

 腸管出血性大腸菌は75℃で1分間加熱で死滅するので、園児への食事はしっかりと加熱したものを供することが基本です。また焼肉などでは、生肉を扱った箸やトングなどは生食用のものと使い分けましょう。

 以前より野菜類(生野菜はもとより浅漬けなど)やそれ以外の加工食品(例:お団子の食中毒)での集団発生がみられることがあります。

 施設に提供され、そのまま加熱処理等が行われないままに供される食材の衛生管理は、納入業者と連携してしっかりと行われなければなりません。

腸管出血性大腸菌感染症の治療

 腸管出血性大腸菌感染症の治療は、点滴等による電解質や水分の補給が中心となります。

 下痢止め(止痢剤)は、腸管の内容物の停滞時間を延長し、ベロ毒素の体内への吸収を助長し、HUS(溶血性尿毒症症候群)が発生する可能性を高めてしまうとされているので、使用すべきではありません。

 抗菌薬を投与すべきか否かについては、実は意見が分かれていて、世界的にも定まってはいません。日本では早期にホスミシンを投与することでHUSの発症率を下げる可能性があるとの報告もあり、国内では抗菌薬が投与されることが多いです。

 HUSを発症した場合は、輸液や電解質の管理を厳重に行い、腎不全が悪化して尿が出なくなってきた場合は透析が必要となります。

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2022年5月期

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
咽頭結膜熱
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
手足口病
梅毒

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2022年第19週(2022年5月9日〜2022年5月15日)

流行の様子

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 咽頭結膜熱 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 手足口病 梅毒
 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

新型コロナはBA.2(オミクロン株の別系統)に置き換わりが進んでおり、感染力が強いということから、今一度、感染対策をしっかりすることが大切です。人と会話するときはマスクの着用、屋内では部屋の換気をこまめにしましょう。感染を予防するために、この二つは徹底してください。高齢者は特にワクチン接種で重症化を防げるので、まだ接種していない人を含め、接種してほしいです。若い人でも、高齢者に接する機会がある人はワクチン接種をおすすめします。今後、ゴールデンウィークで帰省や旅行といった、人の移動が増えることが予想されます。軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をしましょう。オミクロン株の感染力は強く、年齢に関係なく全ての年代で感染がみられています。ワクチン接種をした上で、マスク着用や部屋のこまめな換気といった基本的な感染対策を続けていきましょう。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

咽頭結膜熱

咽頭結膜熱は、例年5月から患者報告数が増え始める感染症です。典型的な症状は発熱、咽頭痛、結膜炎です。発熱は5日間ほど続くことがあります。眼の症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。感染経路は、主に接触感染と飛沫感染です。原因となるアデノウイルスの感染力は強力で、直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接的な接触でも、感染が広がります。特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。
予防方法は、流水・石鹸による手洗いとマスクの着用です。物品を介した間接的な接触でも感染するため、しっかりと手を洗うことを心がけてください。
情報元:IDWR2022年第19週(2022年5月9日〜2022年5月15日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、例年春に患者報告数が増え始めます。保育所や幼稚園の年長を含め、学童を中心に広がります。学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。
感染すると、2〜5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2022年第19週(2022年5月9日〜2022年5月15日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

手足口病

例年、手足口病の流行は7月下旬にピークを迎えます。しかし昨年は、国立感染症研究所のIDWR週報データによると、第33週(8/16〜22)から報告数が増え始め、九州地方を中心として患者報告数が多くみられました。年齢別では、2021年の第1週(1/4〜10)から第43週(10/25〜31)までの累積患者報告数をみると、1歳が44.7%、2歳が25.2%であり、例年と同様に1歳と2歳が大半を占めています。
手足口病はエンテロウイルスなどを病原体とする感染症で、流行は夏季に集中しています。3日〜5日の潜伏期間の後に発症し、口の粘膜・手のひら・足の甲や裏などに、2〜3ミリの水疱性の発疹が現れます。手足口病の感染経路としては飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。保育所や幼稚園などの集団生活では、感染予防として流水・石けんを用いた手洗いの励行と、排泄物は適切に処理をしましょう。
一方で、子どもがウイルス感染し、その後に看病にあたった大人が手足口病に感染し発症する例もみられます。職場では感染対策としてマスクを着用し、こまめに石けんを用いて手洗いを行うようにしてください。
情報元:IDWR2022年第19週(2022年5月9日〜2022年5月15日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

梅毒

梅毒の患者報告数は、昨年は過去10年で最多の患者報告数でした。今年に入り、昨年同時期を上回る患者報告数となっており、21世紀に入ってから最多となる可能性があります。今後の発生動向に注意が必要です。特に、関東での患者報告数が多くあがっています。梅毒は年代問わず広がっている感染症ですので、正しい知識をもち、少しでも心当たりがある場合は皮膚科を受診しましょう。
梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。
早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防
すこやか2019 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
国立感染症研究所の2022年第14週のIDWR速報デ ータによると、全国のインフルエンザ定点医療機関から報 告された患者報告数は、約16人です。今シーズンは、こ れまでのところ昨年に引き続き、インフルエンザの患者報 告数が少・・・
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国立感染症研究所の2022年第14週のIDWR速報デ ータによると、全国のインフルエンザ定点医療機関から報 告された患者報告数は、約16人です。今シーズンは、こ れまでのところ昨年に引き続き、インフルエンザの患者報 告数が少ない状況です。昨年は、インフルエンザが流行す る兆候はみられず、感染症発生動向調査が始まって以来、 「流行が認められなかった初めてのシーズン」となりまし た。2年連続で、冬季にインフルエンザの患者報告数が少 ないという近年にはない状況ですが、今後なんらかの影響 があるのでしょうか。感染症専門医で、大阪府済生会中津 病院に勤務する安井良則医師によると、インフルエンザに かかっていなかった人が2年連続いるということは、感受 性者(感染する可能性のある人)が蓄積している状況とい えます。次のインフルエンザの流行時には、大きな流行に なる可能性も考えられますので、注意が必要です。
■情報元:感染症・予防接種ナビ ■更新:4/20
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