「感染症・予防接種ナビ」は、広島テレビ放送が運営しており、厚生労働科学研究「ワクチンで予防可能な疾病のサーベイランスとワクチン効果の評価に関する研究」(研究代表者・鈴木基)の 「ワクチンの有効性、安全性、啓発に関する研究」(研究分担者・岡部信彦)の研究活動の一部に協力しています。
子育てに欠かせない「正しく信頼できる」感染症情報の発信と予防接種の啓発を、公的機関や専門医の監修と取材協力のもと、分かりやすく伝えるサイトです。
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新型コロナウイルス感染症

2019年末頃より「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」が中国の武漢市を中心に出現し、世界中で患者数が増加しています。

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感染症ニュース

【感染症ニュース】「ダニ媒介感染症」に注意! アウトドアで刺されることも 楽しいゴールデンウィークを

いよいよ、ゴールデンウィーク!ハイキングやキャンプなど、アウトドアを楽しむ方も多いと思います。そこで気をつけていただきたいのが、ダニに刺されたことによって起こる「ダニ媒介感染症」です。2024年に入っても、国内の各地で感染の報告があがっており、命に関わる場合もあります。

【2024年】4月に注意してほしい感染症!RSウイルス感染症徐々に増加 麻しん(はしか)流行に注意 医師「春休み明けもインフルエンザ下がり切らない懸念」

ダニ媒介感染症とは?

ダニ媒介感染症とは、ウイルスや細菌などを保有しているダニに刺されることによって起こる感染症のことです。ダニは野外の様々な場所で生息していて、野外作業や農作業、レジャーなどでダニに刺されることで、ダニ媒介感染症を発症することがあります。

マダニはこれからが活動が盛んな季節

特にマダニは、春から秋にかけて活動が盛んになり、注意が必要です。マダニはシカやイノシシ、野ウサギなどの野生動物が出没する環境に多く生息していて、民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などにも生息しています。マダニは様々な細菌やウイルスを保有していて、マダニに刺されることによって、日本紅斑熱、Q熱、ライム病、ダニ媒介性脳炎、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの感染症になるおそれがあります。

日本紅斑熱

その中でも代表的な感染症が日本紅斑熱です。病原体は細菌よりも小さな「リケッチア」で、ダニに刺咬されることによって感染します。潜伏期は2〜8日で、症状としては頭痛、発熱、倦怠感があります。軽い感染症ではなく、年間に200件を超える発生報告があり、2022年には、広島県で農作業中にマダニに咬まれた70代の女性が日本紅斑熱で亡くなっています。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

また、SFTSウイルスによる重症熱性血小板減少症候群の発症の可能性もあります。主に西日本を中心に患者が発生していて、潜伏期は6〜14日。症状は発熱・消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)などで、ときに腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状を伴うことがあります。また、血小板減少、白血球減少、血清酵素上昇がみられ、致死率は10〜30%となっています。SFTSは主にマダニに咬まれることによって感染しますが、感染した犬や猫の体液への直接接触でも感染することがあります。また、今年3月には、医療機関でヒトからヒトへの感染が日本で初めて報告されています。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「ゴールデンウィークで、アウトドアを楽しむ方も多いと思いますが、マダニに咬まれると、命に関わる感染症にかかる可能性があります。気持ちのいい季節になりましたが、野外活動をする際には、肌の露出を抑えるなど、咬まれない工夫をすることが重要です。仕事やキャンプ・登山などで野山に入ったあと、発熱・発疹があり、刺し口が確認された場合は、SFTSや日本紅斑熱など、マダニ媒介の感染症を疑う必要があります。症状は、熱が下がらずしんどい状態が続き、きちんとした診断と治療がなければ命に関わる場合もあります。日本紅斑熱の治療には、テトラサイクリン系の抗菌薬が、効果があるとされていますが、SFTSの場合は対症療法が主体となります。不安な方は医療機関を受診してください。マダニには、年齢は関係なく咬まれる可能性があります。野山に入る際は、ダニ除けに効果のある防虫スプレーをこまめに使うのも一つの手です」と語っています。

マダニから身を守る服装とは?

マダニから身を守るためには、極力首・腕・足など肌の露出を少なくすることです。首にはタオルを巻くかハイネックのシャツを着用する。軍手や手袋を着用して、シャツの袖口は手袋の中に入れる。シャツの裾はズボンの中に入れる。ハイキングなどで山林に入る場合は、ズボンの裾に靴下を被せる。農作業や草刈りなどでは、ズボンの裾を長靴の中に入れるなどの工夫が重要です。

マダニから身を守る方法とは?

また、野外活動から帰った際は、家の中にマダニを持ち込まないようにすることが重要です。家の中に入る前に上着や作業着などはらって、マダニを落とす。またガムテープなどを使って服についたマダニを取り除く方法も効果的です。家に入ったあとは、すぐにシャワーや入浴をして、マダニがついてないかどうかチェックしましょう。また、マダニは長時間吸血することがあり、吸血中に無理やり取り除こうとすると、口器が皮膚の中に残ることがあります。マダニに咬まれたときは、皮膚科などの医療機関でマダニの除去や消毒などの適切な処置を受けてください。

引用
国立感染症研究所:日本紅斑熱とは、マダニ対策、今できること(パンフレット)
厚生労働省:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの患者から医療従事者への感染事例について(事務連絡:令和6年3月19日)

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2024年4月期

RSウイルス感染症
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
新型コロナウイルス感染症
麻しん(はしか)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)

流行の様子

RSウイルス感染症 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 麻しん
 

RSウイルス感染症

報告数
北海道
267
青森
3
岩手
8
宮城
39
秋田
4
山形
15
福島
54
茨城
48
栃木
54
群馬
92
埼玉
295
千葉
116
東京
425
神奈川
280
新潟
49
富山
24
石川
48
福井
91
山梨
9
長野
33
岐阜
55
静岡
80
愛知
182
三重
99
滋賀
36
京都
144
大阪
774
兵庫
222
奈良
142
和歌山
26
鳥取
2
島根
17
岡山
14
広島
97
山口
107
徳島
37
香川
18
愛媛
51
高知
16
福岡
120
佐賀
22
長崎
27
熊本
31
大分
11
宮崎
64
鹿児島
75
沖縄
25
RSウイルス感染症は、乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。感染経路は、飛沫感染や接触感染です。お子さん向けのワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、マスクの着用を徹底しましょう。家族以外にも保育士など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。
情報元:IDWR2024年第15週(2024年4月8日~2024年4月14日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

流行は、今後、落ち着きをみせると思われますが、水準的には、減り切っていないため、2024年4月以降も、しばらく、患者発生動向には注意していく必要があると考えています。また、4月から、新型コロナウイルス感染症に関する特例措置が終わり、通常の医療提供体制へ完全に移行します。これにより、新型コロナワクチンの特例臨時接種(無料)も3月末で終了し、4月からは自費での接種となります。また、治療薬の薬剤費や入院医療費についても公費の負担が3月末で終了し、他の疾病と同様に医療費の自己負担割合に応じた通常の窓口負担になります。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

麻しん

麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人のみに感染するウイルスであり、感染発症した人から人へと感染していきます。感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫がない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。現在ではビタミンAが不足すると麻しんの重症化を招きやすいことが知られており、発展途上国ではその死亡率が10~30%に達する場合があると言われています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道・・・
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厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発 生状況について」令和6年第14週(4/1-7)による と、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。 去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべ ての都道府県で前週(第13週)より少なく、10を超え る県は山形11.47と新潟10.25だけです。感染症 に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の 安井良則医師は「インフルエンザの全国の定点当たり報告 数は、前週と比較しても半分以下となりました。しかし、 この第14週は学校や幼稚園・保育園などが春休みの時期 と重なっています。インフルエンザ定点は小児科が多いた め、長い休みの影響を受けます。流行の傾向は次の15週 16週の数字を見ないとわからないでしょう。通常、イン フルエンザは短期間に大きな流行の山を作ります。今シー ズンは爆発的な流行はなかったものの、患者は長期に渡り 出続けていたため、患者数はこの10年で最多となってい ます。本来であれば夏頃はインフルエンザの患者はほとん ど出ないのですが、今後も要警戒だと思っています」
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