感染症ニュース

【感染症ニュース】麻しん(はしか) 2019/1/28〜2/3(第5週)までの累積患者報告数は148名、2013年以降の同時期と比べて最多

 麻しん(はしか)の2019年のこれまでの患者報告数は、2013年以降の同時期と比べて最も多くなっています。特に、大阪府や三重県の患者数が多くなっており、その周辺の地域にも影響が出始めています。今後、大阪府の麻しんの流行は、まだしばらく継続する可能性が高く、さらに周辺地域へと広がっていく可能性があります。全国的な流行に発展しないよう、これからも注意が必要です。今回の大阪で発生している麻しん患者の半数以上が、ワクチン未接種者かワクチン接種不明者です。麻しんの予防には、麻しん含有ワクチンの接種が最も重要であることに変わりはありません。

地域別情報

 2019/1/28〜2/3(第5週)の速報データによると患者数が多い都道府県ランキング
 ・三重県(49)
 ・大阪府(43)
 ・愛知県(14)
 ・東京都(10)
 ・和歌山県(5)
 ・岐阜県(5)

 ( )内の数字は2019年の累積患者報告数です。

概要

 麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人のみに感染するウイルスであり、感染発症した人から人へと感染していきます。感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫がない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。

症状

 典型的な麻しんの発症例では、感染後10〜14日間の潜伏期を経て、以下の経過をたどります。

 (1)カタル期:38℃前後の発熱、上気道炎症状等、経過中に頬粘膜にコプリック斑出現

 (2)発疹期:39℃以上の発熱、頭頚部より発疹が出現して全身に広がる
 
 (3)回復期
 カタル期が最も感染力が強い時期となっており、カタル期で麻しんであることに気づかずに行動することが、感染を広げる原因となります。

 合併症として肺炎、中耳炎、脳炎、心筋炎等があり、2000年に大阪で麻しんが流行した際には入院率は40%を超えました。未だに有効な治療方法はありません。

感染経路

 麻しんは麻しんウイルスが人から人へ感染していく感染症です。他の生物は媒介しません。人から人への感染経路としては空気(飛沫核)感染の他に、飛沫感染、接触感染もあります。麻しんは空気感染によって拡がる代表的な感染症であり、その感染力は強く、1人の発症者から12〜14人に感染させるといわれています。麻しん発症者が周囲の人に感染させることが可能な期間(感染可能期間)は、発熱等の症状が出現する1日前から発疹出現後4〜5日目くらいまでです。学校保健安全法施行規則では、麻しんに罹患した場合は解熱後3日間を経過するまで出席停止とされています。

予防

 麻しんは空気(飛沫核)感染する感染症です。麻しんウイルスの直径は100〜250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクを装着しても感染を防ぐことは困難です。麻しんの感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、予めワクチンを接種して麻しんに対する免疫を獲得しておくことです。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2019年2月期

インフルエンザ(季節性)
伝染性紅斑(りんご病)
ロタウイルス感染症
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2019年第5週(2019年1月28日〜2019年2月3日)

流行の様子

インフルエンザ(季節性) 伝染性紅斑 ロタウイルス感染症 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 

インフルエンザ(季節性)

1〜4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快しますが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。主な感染経路は、くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染です。他に接触感染もあるといわれています。
インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。インフルエンザの感染対策とてしては、飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染 しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト―ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。
情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

伝染性紅斑

妊婦が感染すると、胎児水腫や流産の可能性があります。妊娠前半期は、より危険性が高いといわれていますが、後半期にも胎児感染は生じるとの報告があります。その他、溶血性貧血患者が感染した場合の貧血発作を引き起こすことがあり、他にも血小板減少症、顆粒球減少症、血球貪食症候群等の稀ですが重篤な合併症が知られています。
4〜5歳を中心に幼児、学童に好発する感染症で、単鎖DNAウイルスであるヒトパルボウイルスB19が病原体です。典型例では両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」と呼ばれることがありますが、実際には典型的な症状ではない例や症状が現れないケースもあり、様々な症状があることが明らかになっています。感染後約1週間で軽い感冒様症状を示すことがありますが、この時期にウイルス血症を起こしており、ウイルスの体外への排泄量は最も多くなります。
感染後10〜20日で現れる両頬の境界鮮明な紅斑があります。続いて腕、脚部にも両側性にレース様の紅斑がみられます。体幹部(胸腹背部)にまでこの発疹が現れることもあります。発熱はあっても軽度です。本疾患の大きな特徴として、発疹出現時期を迎えて伝染性紅斑と診断された時点では、抗体産生後であり、ウイルス血症はほぼ終息し、既に他者への感染性は、ほとんどないといわれています。
情報元:IDWR2019年第5週(2019年1月28日〜2019年2月3日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

ロタウイルス感染症

ほとんどすべての子どもが4〜5歳までに感染します。初感染であれば新生児期を除いて不顕性感染(感染していながら臨床的に確認しうる症状を示さず健康にみえる状態)はまれです。生後6か月以降2歳未満の時期に感染するともっとも重症化しやすいといわれており、入院治療を必要とする乳幼児下痢症の35〜52%がロタウイルスによるものです。
かかりやすいのは乳幼児で、特に1歳児に多く、年齢が上がるにつれだんだんと減っていきます。脱水などのために入院治療が必要となるのはほとんどが就学前(6歳以下)の乳幼児で、2歳未満児(ただし、3か月以上)が過半数を占めます。生涯をとおしてロタウイルス感染は繰り返し起こりますが、一般に年長児や成人は不顕性感染となります。

情報元:日本学校保健会
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

溶連菌感染症の症状が疑われる場合は、速やかにかかりつけ医を受診しましょう。溶連菌感染症と診断され、抗菌薬が処方された場合は、医師の指示に従うことが重要です。途中で抗菌薬をやめた場合、病気の再燃や糸球体腎炎などの合併症を来すことが知られています。
溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が現れることは少ないといわれています。症状としては2〜5日の潜伏期間を経て、38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症し、しばしばおう吐を伴います。
また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発しんが広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。
主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染は稀とされていますが、患者もしくは保菌者由来の口腔もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。発症者に対しては、適切な抗菌薬による治療が開始されてから48時間が経過するまでは学校、幼稚園、保育園での集団生活は許可すべきではないとされています。
情報元:IDWR2019年第5週(2019年1月28日〜2019年2月3日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
びせいぶつ芸能社
風疹ゼロプロジェクト
「水ぼうそう・帯状疱疹」ホントのところ

予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
インフルエンザ 累積の推定患者数は1000万人を上回 ったものの、今週の患者数は約102万人と2週間連続し て減少、今後さらに減少していくものと予想(更新:20 19/2/14)
 インフルエンザの1週間の推定患者数は・・・
+全文表示
インフルエンザ 累積の推定患者数は1000万人を上回 ったものの、今週の患者数は約102万人と2週間連続し て減少、今後さらに減少していくものと予想(更新:20 19/2/14)
 インフルエンザの1週間の推定患者数は、約102万人 と前週の値(約168万人)よりも減少し、2週間連続し ての減少となりました。今週は更に患者数の減少がみられ るものと予想されます。推定受診者数多い順…秋田県、福 井県、北海道、栃木県、大分県、徳島県、奈良県、広島県 (監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染 症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏)
−閉じる
こどもの救急
あいち健康ナビ