感染症ニュース

【感染症ニュース】手足口病 患者発生が急増中 7月のピークに向けてさらに増加すると予想

 手足口病(hand, foot and mouth disease:HFMD)は、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性のウイルス性感染症であり、乳幼児を中心に主に夏季に流行し、例年7月頃に流行のピークを迎えます。今後しばらくは、増加傾向に注意が必要です。

 口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性のウイルス性感染症であり、乳幼児を中心に主に夏季に流行します。

患者数の動向

 IDWRの速報データによると
 2019/5/20〜5/26(第21週)は、定点把握疾患(週報告)が4868件(1.54)
 2019/5/27〜6/2(第22週)は、定点把握疾患(週報告)が6201件(1.95)
 2019/6/3〜6/9(第23週)は、定点把握疾患(週報告)が8823件(2.79)

地域別情報

 6月3日〜6月9日(第23週)の速報データによる、定点当たり報告数が最も多い順
 鹿児島県(14.02)
 福岡県(11.73)
 佐賀県(11.26)
 宮崎県(10.58)
 大分県(7.58)

症状

 従来のCA16およびEV71による手足口では、3〜5日間の潜伏期間の後に、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2〜3mmの水疱性発疹が出現してきます。発熱は約3分の1に認められますが軽度であり、高熱が続くことは通常はありません。通常は3〜7日の経過で軽快し、水疱の跡が痂皮(かさぶた)となることもありません。

感染経路

 手足口病の感染経路としては飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。

治療方法

 特異的な治療法はなく、抗菌薬の投与は意味がありません。発疹に痒み(そう痒感)などを伴うことは稀であり、抗ヒスタミン薬の塗布を行うことはありますが、通常は外用薬としての副腎皮質ステロイド剤は用いられません。口腔内病変を伴いますので、乳幼児の場合は刺激にならないように柔らかめで薄味の食べ物が奨められますが、水分が不足しないように、経口補液などで水分を少量頻回に与えることのほうがより重要です。時には脱水を防ぐために経静脈補液が必要となる場合もあります。発熱に対しては、通常は解熱剤なしで経過観察が可能です。しかし、元気がない(ぐったりしている)、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎、脳炎など中枢神経系の病変の合併に注意する必要があります。ステロイド剤の多用が症状を悪化させることが示唆されています。

予防法

 保育園や幼稚園などの乳幼児施設においての流行時の感染予防は手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。しかし、本疾患は主要症状が回復した後も比較的長期間に渡って児の便などからウイルスが排泄されることがあり、加えて流行時には無症状病原体保有者も相当数存在していると考えられるため、発症者のみを隔離したとしても、効果的な感染拡大防止策となるとは考え難いです。基本的には軽症疾患であることを踏まえ、回復した児に対して長期間の欠席を求めることも得策ではありません。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
感染症ニュース一覧
予防接種における間違いを防ぐために

注意してほしい感染症

2019年6月期

手足口病
伝染性紅斑(りんご病)
咽頭結膜熱
RSウイルス感染症

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ
咽頭結膜熱
溶連菌感染症
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
百日咳
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎
急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎
マイコプラズマ肺炎
情報元:IDWR2019年第23週(2019年6月3日〜2019年6月9日)

流行の様子

手足口病 伝染性紅斑 咽頭結膜熱 RSウイルス感染症
 

手足口病

手足口病は、主に夏季に流行する感染症で、例年7月頃に流行のピークを迎えています。年齢別にみると5歳以下が流行の中心であり、感染症発生動向調査の小児科定点医療機関からの報告によると、2歳以下からの報告数が全体の約半数を占めています。
従来のCA16およびEV71による手足口では、3〜5日間の潜伏期間の後に、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2〜3mmの水疱性発疹が出現してきます。発熱は約3分の1に認められますが軽度であり、高熱が続くことは通常はありません。通常は3〜7日の経過で軽快し、水疱の跡が痂皮(かさぶた)となることもありません。
一方、近年みられるようになったCA6による手足口病では、水疱が5mm程度と大きく、四肢末端に限局せずに前腕部から上腕部、大腿部から殿部と広範囲に認められ、発熱も39℃を上回ることも珍しくなく、水痘との鑑別が困難な例もあります。また、手足口病を発症して治癒した後に、数週間を経て上下肢の爪が脱落する爪甲脱落症をきたす場合があり、CA6を原因とする手足口病の特徴となっています。感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。保育園や幼稚園などの乳幼児施設においての流行時の感染予防は手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。
情報元:IDWR2019年第23週(2019年6月3日〜2019年6月9日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

伝染性紅斑

妊婦が感染すると、胎児水腫や流産の可能性があります。妊娠前半期は、より危険性が高いといわれていますが、後半期にも胎児感染は生じるとの報告があります。その他、溶血性貧血患者が感染した場合の貧血発作を引き起こすことがあり、他にも血小板減少症、顆粒球減少症、血球貪食症候群等の稀ですが重篤な合併症が知られています。
4〜5歳を中心に幼児、学童に好発する感染症で、単鎖DNAウイルスであるヒトパルボウイルスB19が病原体です。典型例では両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」と呼ばれることがありますが、実際には典型的な症状ではない例や症状が現れないケースもあり、様々な症状があることが明らかになっています。
感染後約1週間で軽い感冒様症状を示すことがありますが、この時期にウイルス血症を起こしており、ウイルスの体外への排泄量は最も多くなります。感染後10〜20日で現れる両頬の境界鮮明な紅斑があります。続いて腕、脚部にも両側性にレース様の紅斑がみられます。体幹部(胸腹背部)にまでこの発疹が現れることもあります。発熱はあっても軽度です。本疾患の大きな特徴として、発疹出現時期を迎えて伝染性紅斑と診断された時点では、抗体産生後であり、ウイルス血症はほぼ終息し、既に他者への感染性は、ほとんどないといわれています。
情報元:IDWR2019年第23週(2019年6月3日〜2019年6月9日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

咽頭結膜熱

例年4月から患者数が増加し、6〜7月に流行のピークを迎えます。咽頭結膜熱は、別名プール熱とも呼ばれています。例年、流行のピークは6月です。発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)の3つが主な症状です。通常感染してからの潜伏期間は5〜7日。症状がある期間は3〜5日といわれています。咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染です。また、飛沫感染もあります。
原因ウイルスは、アデノウイルスで、感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が広がります。
アデノウイルスは、環境中で数日間活性を保っているため、施設やご家庭などで患者が発生している場合は、皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行うことも重要な感染対策となります。
なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。
情報元:IDWR2019年第23週(2019年6月3日〜2019年6月9日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

RSウイルス感染症

報告数
北海道
55
青森
3
岩手
5
宮城
27
秋田
2
山形
17
福島
25
茨城
14
栃木
6
群馬
5
埼玉
40
千葉
27
東京
64
神奈川
20
新潟
29
富山
6
石川
3
福井
15
山梨
0
長野
18
岐阜
4
静岡
8
愛知
16
三重
3
滋賀
3
京都
5
大阪
44
兵庫
20
奈良
2
和歌山
4
鳥取
6
島根
2
岡山
1
広島
5
山口
10
徳島
8
香川
3
愛媛
5
高知
7
福岡
37
佐賀
3
長崎
2
熊本
0
大分
1
宮崎
9
鹿児島
14
沖縄
47
RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2〜8日、一般的には4〜6日で発症します。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなったり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。
特に気をつけなければならないのが、生後数週間から数か月の赤ちゃんがRSウイルスに感染することです。感染すると、気管支炎、肺炎などを起こすことがあり、1〜3%が重症化すると言われています。RSウイルス感染症の感染経路はインフルエンザと同様、飛沫感染や接触感染です。RSウイルス感染症のワクチンはまだ実用化されていません。予防法は、手洗い、咳エチケットなどが有効です。RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は症状を和らげる対症療法になります。
情報元:IDWR2019年第23週(2019年6月3日〜2019年6月9日)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
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予防接種トピックス

感染症発生動向調査による小児科定点(約3,000か所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000か所)からの報告数に基づいたデータ解析によります。
感染症発生動向調査とは(厚生労働省ホームページより)
すこやか201 知ってアクション!感染症の予防
すこやか2019 知ってアクション!感染症の予防

予防接種スケジュール

※国立感染症研究所サイト

インフルエンザ情報

情報元:日本医師会、日本薬剤師会、日本大学薬学部、(株)EMシステムズ
インフルエンザ 1週間の推定患者数は8週間連続で減少 、学校等の春季休暇の影響によってさらに患者数は減少し ていくと予想される(更新:2019/3/27)
 インフルエンザの1週間の推定患者数は約8万9千人と 前週の値・・・
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インフルエンザ 1週間の推定患者数は8週間連続で減少 、学校等の春季休暇の影響によってさらに患者数は減少し ていくと予想される(更新:2019/3/27)
 インフルエンザの1週間の推定患者数は約8万9千人と 前週の値(約10万6千人)よりも減少し、第5週以降8 週間連続しての減少となりました。また、週明けの3月2 5日の推定患者数は約1万6千人と前週の値(約2万2千 人)を下回っており、インフルエンザの患者数は更に減少 していくものと予想されます。推定受診者数多い順…秋田 県、福井県、北海道、青森県、香川県 (監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染 症研究所感染症疫学センター客員研究員・安井良則氏)
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