A.国内外の論文、報告書に基づいて国立感染症研究所がまとめた「水痘ワクチンに関するファクトシート(平成22(2010)年7月7日版)」には、以下のように記載されています。
「健常なワクチン接種者が発症したbreakthrough水痘や帯状疱疹から、野生株ではなくワクチン株が2次感染した例はほとんど無く、現在までに水痘4例及び帯状疱疹2例のindex caseから合計で2次感染による水痘発症が7例報告されているのみである。なお、症例6については、2次感染水痘発症者がすでにワクチン接種していたこともあり、因果関係は明瞭ではない。従って、ワクチン接種した医療関係者が帯状疱疹を起こし、ハイリスク患者へ2次感染させる可能性も極めて低い。」
むしろ、ワクチン接種を受けていない子どもや配偶者が自然感染を受け、そこから妊婦が感染を受ける方がリスクは高いと考えられます。水痘に対し感受性のある妊婦では、妊娠20週以前に水痘に罹患した場合、2%程度の頻度で先天性水痘症候群を発症することがあります。また、出産前5日から出産後2日に妊産婦が水痘を発症した場合、新生児が重篤な水痘を発症することが知られており、妊娠を希望する女性は非妊娠期に水痘ワクチンを接種することで免疫を賦与しておくことが重要です。
出典:「
予防接種に関するQ&A集 水痘」-一般社団法人日本ワクチン産業協会(岡部信彦 川崎市健康安全研究所所長、多屋馨子国立感染症研究所感染症疫学センター第三室(予防接種室)室長)