咽頭結膜熱とは
 
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※皆様からご投稿いただきました感染症経験談は、研究活動の研究報告として提出予定です。※提出する情報には個人情報は含まれません。

概要

 咽頭結膜熱は、別名プール熱とも呼ばれています。春から夏にかけて流行する感染症です。主にアデノウイルス3型(他に1、2、4、5、6、7型等でもみられる)に感染することによってみられる咽頭炎、結膜炎を主とする急性ウイルス性感染症です。
なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。

症状

 発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)の3つが主な症状です。通常感染してからの潜伏期間は5〜7日。症状がある期間は3〜5日といわれています。

治療方法

 特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。

感染経路

 咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染です。また、飛沫感染もあります。
原因ウイルスは、アデノウイルスで、感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が広がります。
アデノウイルスは、環境中で数日間活性を保っているため、施設やご家庭などで患者が発生している場合は、皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行うことも重要な感染対策となります。

感染対策

 皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行う場合、消毒薬としては次亜塩素酸ナトリウム(市販されているものではミルトンやピューラックス、家庭用漂白剤としてはハイターやブリーチ等)を 500〜1000ppm 程度に薄めて使用することが推奨されます。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの消毒液は、人体に用いてはいけません。アルコールは、効果はあるのですが、効力を発揮するのに 10分以上の時間を要するため、使用しづらいという難点があります。接触感染対策として最も重要なことは手指衛生です。手指衛生は、流水・石鹸による手洗いが最も効果的です。

 咽頭結膜熱は症状消失後も約 1 か月間に渡って尿・便中にウイルスが排出されるといわれています。更に、感染しても症状のない無症候病原体保有者や、明確に主な3つの症状があらわれないことも少なからずあると考えられています。これらのことから、医療機関を受診して咽頭結膜熱と診断された者だけを隔離等の感染対策の対象としても、効果的な対策に繋がることは期待できません。これがこの感染症の感染対策を困難にしていると思われます。特に感染経験の乏しい小児の集団生活施設である保育園、幼稚園、小学校等では流行時期になると集団発生がみられることも珍しくはありません。

例年のようす

 毎年7月は、咽頭結膜熱が最も流行する時期です。また、アデノウイルスは 51 種類の血清型に分かれています。これらのアデノウイルスによる咽頭炎や肺炎等の呼吸器疾患、流行性角結膜炎、胃腸炎、出血性膀胱炎等も咽頭結膜熱と同じ時期に流行する傾向が強いです。夏期は咽頭結膜熱の流行対策を行うことによって、咽頭結膜熱を中心としたアデノウイルスによる感染症全般の対策に繋げていきたいものです。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
更新:2014/10


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