【感染症ニュース】新型コロナ全国定点7.01(2024/12/23-29) 東日本は注意 医師「増加のペース速まっている」
2025年1月10日更新
流行地域は注意
流行地域は注意
厚生労働省が、2025年1月9日に発表した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」2024年第52週(12/23-29)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は7.01。前週5.48から、増加しました。2024年第45週(11/11-17)から、増加傾向が続いています。都道府県別にみると、北海道(16.80)・岩手県(14.75)・宮城県(10.43)・茨城県(11.80)・栃木県(11.11)・山梨県(10.05)・長野県(10.02)と、東日本で定点10を超える地域が多くなっています。

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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「新型コロナウイルス感染症が、徐々に増加しています。インフルエンザが、急激に増加しているため、そちらに目が行きがちですが、新型コロナの増加にも目を向ける必要があります。東日本、特に北海道・東北地方では、既に定点10を超える地域も出ています。私の勤務先のある大阪府でも、増加傾向となっており、定点当たりの報告数は、第51週(2.87)→第52週(3.67)と増加しており、増加の速度は早まりつつあると考えられます。このペースから考えると、大阪府では、2025年第2週に定点5.0を超える可能性があります。地域によって、増加のペースは異なりますが、早い段階から流行に備えることも重要と考えます。実際、私の勤務先では、年末年始期間の新型コロナ入院事例も増えており、年明けも病棟の状況を確認していました。入院患者さんは、高齢者・基礎疾患のある方が多いです。新型コロナのワクチンを接種されていた方の中にも、入院している方がいらっしゃいましたが、最後の接種から期間が長く空いていました。健康に不安のある方は、ワクチン接種を検討して頂ければと思います」としています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

新型コロナウイルス感染症関連死亡例は、年間約5〜6万人

厚生労働省では、COVID-19関連死亡数について公表しています。それによると、新型コロナウイルスが、最も死亡に影響を与えて亡くなった例が、2022年は約3万4千人、2023年は約2万5千人。また、新型コロナウイルスが直接の死因には関係していないが、影響を及ぼして亡くなった例が、2022年は約2万6千人、2023年は約2万4千人いました。合計すると2022年は約6万人が、2023年には約5万人が新型コロナに関連して亡くなっています。
安井医師「これほど死亡例の多い感染症は、国内には他にありません。2023年5月に5類感染症になったことから、インフルエンザなど他の感染症と同じような印象を持たれる方も多いと思いますが、社会の一部の声を鵜呑みにすることは危険と考えています。特に高齢者、基礎疾患のある方にとって、新型コロナウイルスは命に関わる感染症です。また後遺症に苦しまれている方もいらっしゃいますし、引き続き感染対策や臨床現場での治療は高い意識を持って臨むことが重要であると考えています」

冬場は部屋の換気を忘れずに!

新型コロナウイルス感染症とともに、インフルエンザも流行拡大の兆しがあります。予防の一つとして、部屋の換気があります。寒くなりましたが、定期的に部屋の空気を入れ替えるよう心がけましょう。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について第52週(12/23-29)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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