厚生労働省が12月6日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第48週(11/25~12/1)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は4.86。前週から2.37から2倍以上の急増となりました。福岡は11.43で、注意報レベルの目安となる10を超え、長野、千葉、広島、大分、山形、鳥取、福島などが多くなっています。
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小学校を中心に学級閉鎖も増加中
またこの第48週に報告された全国の学校などにおける学級閉鎖、学年閉鎖、休校などの数は、保育所3,幼稚園15、小学校486、中学校155、高等学校72、その他8で、合計739施設。こちらも前週の約2倍になっています。
感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、
「今回発表されたインフルエンザのデータは11月の下旬のものですので、今はさらに増えていると考えていいと思います。インフルエンザの流行の中心はお子さんですので、学校や保育園・幼稚園の冬休みが始まるまではこのまま流行が拡大し続けると予測しています」と語っています。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎、新型コロナウイルス感染症など、様々な感染症と同時流行も
また現在、マイコプラズマ肺炎、新型コロナウイルス感染症をはじめ、多くの感染症が増加傾向にあります。中には複数の感染症に同時感染する例もあります。
安井医師「私の勤務する病院に入院してきた1歳2か月のお子さんは、熱の症状があったのですが、調べてみるとインフルエンザとマイコプラズマ肺炎の両方が陽性でした。現在抗ウイルス剤などを投与して様子を見ていますが、肺炎になるおそれもあるので、経過を注意深く見守っているところです。多くの感染症の流行に適したシーズンとなっています。注意が必要です」
入院例は、高齢者と幼児が多い
今シーズンのインフルエンザによる入院患者数は、一番多いのが80歳以上、次いで70歳代ですが、1〜4歳、5〜9歳もそれに続いて多くなっています。インフルエンザは高齢者と幼児が重症化する傾向にあるので、特に注意が必要です。
インフルエンザにかからないために
インフルエンザを予防する有効な方法は次のようなものがあります。
・外出後の手洗い
流水・石けんによる手洗いは、手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法です。
・適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適度な湿度(50〜60%)を保つことも効果的です。
・十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるためには、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取が効果的です。
・人混みや繁華街への外出を控える
やむを得ず人混みに入る可能性がある場合は、防御のために不織布製マスクの着用しましょう。
・室内をこまめに換気する
常時換気設備がない場合は、定期的に窓を開けましょう。対角線上にあるドアや窓を2か所開放すると、効果的な換気ができます。
・ワクチンの接種
ワクチンの効果があらわれるのは接種から2週間程度かかりますが、年末年始の流行に備え、接種がまだの方は、ご検討をお願いします。インフルエンザワクチンは感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。
引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第48週(11/25~12/1)、令和6年度インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏