【感染症ニュース】2024年11月麻しん患者が大阪・千葉・福岡で発生 抗体無ければ、ほぼ100%発症! 医師「流行している東南アジアなどの地域と往来ある方は注意」
麻しんとは?
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。感染すると約10日後に発熱やせき、鼻水と言った風邪のような症状が現れます。2〜3日熱が続いたあと、39℃以上の高熱と発しんが出現します。肺炎や中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎を発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1000人に1人と言われています。
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免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%が発症する
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%が発症すると言われており、発症者と同じ部屋にいるだけで感染することがあります。
今年はすでに40人の患者が発生
麻しん患者は、2021、2022年には各6人、去年(2023年)には28人の患者が発生しました。そして今年はすでに40人の患者が発生しています。11月には大阪・千葉・福岡などで麻しん患者が発生しています。
大阪では11月7日、23日に1人ずつ発症
大阪では11月7日に30代の男性が麻しんを発症しました。主な症状は発熱、発疹、鼻汁、結膜充血、下痢、倦怠感などで、入院をしています。この方は感染性のある11/6~8に大阪や神戸などを電車で移動。11/8~12にベトナムに滞在しています(関西空港を利用)。
また、11月23日に20代の男性が発症していますが、この方もベトナムに滞在していて、前出の男性と同じ航空機を利用した可能性があります。主な症状は発熱、咳、鼻汁、結膜充血、発疹、頭痛、咽頭痛。11/23にはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行っています。
千葉では11月19日には1人発症
千葉では11月19日に、ベトナムから帰国した船橋市在住の10歳未満の男性が麻しんを発症しました。この方は11/21朝にベトナム・ホーチミンから空路成田に帰国しました。
主な症状は発熱、発疹、鼻汁、咳で、入院をしました。ワクチン接種歴はありませんでした。
福岡では11月24日に1人発症
福岡では11月24日に10歳未満の男性が麻しんを発症しました。この患者はベトナムの滞在履歴があり、11/23に飛行機でハノイから福岡に帰国しました。主な症状は発熱、発疹、コプリック斑で、ワクチン接種歴はありませんでした。
ベトナム・ホーチミン市内で麻しんが流行中!
今回紹介した事例は、いずれもベトナムの滞在歴がある方が麻しんを発症しています。2024年9月ベトナムの在ホーチミン日本国総領事館では、ホーチミン市内で麻しんが流行しているという注意喚起を発表しており、海外で感染して日本で発症するというケースが増えることが懸念されています。
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は、
「今回の患者さんはいずれもベトナムで感染、あるいはベトナムから持ち込まれて日本で発症しています。今は、こうした患者さんからの二次感染の報告は、現状、分かっていませんが、このようなケースが増えていくと、いずれ国内でも二次感染が増えていくのではないかと懸念しています。東南アジアなど、麻しんが流行している地域と往来の予定がある方は、ワクチン接種歴の無い方は接種をして行かれた方がいいと思いますが、現状、麻しんを含む麻しん含有ワクチンは不足しがちなので、余裕を持って準備していただければと思います」と話しています。
ワクチン接種が最も有効な予防法
麻しんはワクチンで予防ができる感染症です。現在は定期接種となっており、1歳になった時と、小学校入学前の1年間の2回接種します(多くはMR=麻しん風しん混合ワクチンが接種されます)。ワクチンを接種すると1回で95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得でき、2回接種すれば、1回では免疫がつかなかった多くの方に免疫をつけることができるといわれています。
定期接種の期間を逃してしまったら…
麻しんワクチン(MRワクチン)は決められた期間であれば公費で無料で受けることができます。その期間が過ぎてしまった場合でも自費になりますが接種することはできるので、かかりつけ医などにご相談ください。また、自治体によっては定期接種の機会を逃した方への接種費用の助成を行なっているので、お住まいの市区町村などにお問い合わせください。
引用
厚生労働省:麻しんについて、麻しん風しん予防接種の実施状況
国立感染症研究所:麻しん発生動向調査2024年第47週速報グラフ
大阪府:麻しん(はしか)に関する注意情報(令和6年11月14日)
船橋市:船橋市内における麻しん患者の発生について(令和6年11月26日)
東大阪市:麻しん(はしか)患者の発生に伴う注意喚起(令和6年11月29日)
福岡県保険医療介護部:麻しん患者発生について(令和6年12月2日)
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏