厚生労働省が11月29日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第47週(11/18~24)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は2.36。今シーズンに入り、初めて2を超えました。12月を前に、気温も下がってきました。いよいよ本格的な流行が始まるのでしょうか。感染症に詳しい医師に聞きました。
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感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「インフルエンザは、定点で2を超えると、流行に勢いがつくと言われています。2019年の12月と同じような動きをしているため、患者報告数は、このまま伸びて行く可能性が高いと予測しています。一方で、昨年の2023年の一年を通じた患者報告数は、過去最多となりました。昨年の流行で、免疫を持っている方も多いと考えられるため、どこまで増え続けるのか、または先細りになるのかは予測ができません。先日、お子さんのインフルエンザの予防接種をする機会がありました。インフルエンザに感染し、5歳未満が発症した場合、重症化のリスクもあります。基礎疾患をお持ちであったり、健康面で不安のある方は、流行のピークを迎える前に接種を検討してみてください」としています。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。
インフルエンザワクチンの接種が始まっています
今シーズンのインフルエンザワクチン接種は始まっていて、すでに受けられた方も多いことでしょう。インフルエンザのワクチンは13歳以上の方は原則1回接種、13歳未満の方は2回接種で、1回目の接種から1〜4週間の間隔をあけて2回目を接種することとされていますが、免疫効果を考慮すると4週間あけることが望ましいとされています。
また、65歳以上の方、60〜64歳で一定の基礎疾患(心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方)は、毎年1回定期接種としてインフルエンザワクチンの接種を受けることができます。これらの方は重症化のリスクが高い方ですので、早めにかかりつけの 医師に相談してください。
安井医師「インフルエンザワクチンの効果が出るのは、接種してから約2週間はかかると言われています。12月以降の流行拡大を考えると、早めに接種を検討されたほうがいいと思います。インフルエンザワクチンは発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があり、特にリスクの高い高齢者の方、基礎疾患のある方などは、ぜひ接種を検討していただければと思います」
インフルエンザにマスクは効果あり?
インフルエンザの感染防止に、マスクの着用が効果的な場面があります。厚生労働省「今シーズンのインフルエンザ総合対策」によると、
・高齢者など重症化リスクの高い方への感染を防ぐため、医療機関を受診するときや、高齢者などの重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設などへ訪問する時などは、マスクの着用を推奨します。
・そのほか、インフルエンザの流行期に重症化リスクの高い方が混雑した場所に行くときについては、感染から自身を守るための対策としてマスクの着用が効果的です。
・高齢者など重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設等の従事者の方は、勤務中のマスク着用を推奨しています。
なお留意事項として、子どものマスク着用については、すこやかな発育・発達の妨げにならないよう配慮することが重要です。他の人にうつさないためにも、せきやたんなどの症状がある場合は、マスクの着用を含む咳エチケットを心がけてください。
引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第47週(11/18~24)、令和6年度「今シーズンのインフルエンザ総合対策」
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏