インフルエンザが全国的に増加しています。エリアによっては、増減もありますが、これから温度・湿度共に低くなるため、流行に適したシーズンとなります。インフルエンザは、学校などの集団生活の場で広がりやすいとされています。インフルエンザで、特に注意してほしいのが、就学以降の小児・未成年者の男性で「異常行動」が報告されていることです。今回、ご紹介するのは、インフルエンザに罹患した小学校1年生のお子さんが、熱せん妄を起こした経験談です。
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インフルエンザにかかった小学1年生の男児が、熱せん妄
「前日の夜、疲れている様子だったので早めに寝かせました。夜中、泣きながら母の寝室へ来たので一緒に寝ていましたが、だんだんと身体が熱くなってきているのに気付き、検温すると39.4℃。周りでインフルが流行っている話を聞いていたので、当日の受診はせずに次の日に受診、インフルエンザA型陽性の診断でした。発症当日は最高40.0℃まであがり、かなり辛そうでした。もともと熱せん妄がひどい子なのでこの日も何度も目を覚まして大泣きしていました。次の日(受診した日)には38.3℃〜37.0℃台まで下がり食欲、元気も出てきていました。今年は流行り出すのが早かったので、早々に感染しましたが他の家族にうつることなく終えたのでホッとしました」
インフルエンザにかかった時の異常行動について
以前、抗インフルエンザウイルス薬の服用後に異常行動(急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロするなど)を起こしたということが話題になったことがあります。抗インフルエンザウイルス薬の服用は大丈夫なのでしょうか。
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の院長補佐で感染管理室長の安井良則医師は「これまでの調査結果などからは、インフルエンザにかかった時は、抗インフルエンザウイルス薬を服用していない場合でも同様の行動が現れることが報告されています。異常行動はインフルエンザ特有の症状だと考えられますので、抗ウイルス薬を服用してもしなくても、こうした異常行動には注意が必要です。特に就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いとされているので、この年代の男性がインフルエンザにかかったときは、熱の出始めのときに注意が必要だと思います」と語っています。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。
抗ウイルス薬で治療を
安井良則医師は「インフルエンザですが、この3年間に、多くの方がインフルエンザに感染しなかったことを考えると、さらなる大きな流行になるのではないかと考えています。もしインフルエンザにかかっている人と接触して、その後発熱などの症状が出たら、多くはインフルエンザの影響だと思います。その時は早めに医療機関を受診して、陽性であれば抗ウイルス薬で治療を行うといいと思います」としています。
インフルエンザワクチンの接種時期は?
インフルエンザの流行は例年であれば年明けの1月からピークを迎えます。インフルエンザワクチンの効果が現れるのは接種後およそ2週間後とされているので、例年であれば12月中旬に接種をすれば間に合いました。ワクチンの供給状況について、安井医師は、「今年のインフルエンザワクチンは十分な量が供給されると聞いています。ですので、12月まで待たずに接種をしていただくといいと思います。インフルエンザワクチンの効果はおよそ5か月とされているので、今接種しても、3月頃まで効果が持続すると考えられます。これから先、どのように流行が拡大していくかわかりませんが、早めの予防を心がけていただければと思います」と語っています。
引用
厚生労働省:インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏