【感染症ニュース】インフルエンザ全国定点報告数が流行期の目安である「1」に近づく…ワクチンの早めの接種の検討を! 医師「全国的に着実に増加」
2024年10月23日更新
流行前のワクチン接種が予防に有効!
流行前のワクチン接種が予防に有効!
厚生労働省が10月18日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第41週(10/7~13)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は0.89。インフルエンザは定点あたり報告数が1を超えると流行期入りの目安とされていますが、全国的に流行期入りが近づいています。すでに沖縄、宮崎、鹿児島、岐阜、茨城、長崎、奈良で定点当たり報告数が1を超えており、33の都道府県で報告数が前週から増加しています。

【2024年】10月に注意してほしい感染症!マイコプラズマ肺炎本格流行時期に… 劇症型含む溶連菌感染症の動向に注意 医師「梅毒の急激な増加、気がかり」

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「昨シーズンは夏過ぎからインフルエンザの患者が増え始め、ピークとしてはそれほどではなかったもの流行期間が長く、最終的にはシーズンとしては患者報告の累計数が過去最大となりました。今シーズンもコロナ以前ではあまり患者が発生していなかった今の時期に、患者が発生し始めています。従来では寒くなる12月から翌年の2月頃までがインフルエンザの流行期間でしたが、今年も早めに流行が始まるのではないかと予測しています。今後、エリアによっては、一時的な減少もあるかも知れませんが、全国的に、着実に増加していくものと考えられます」と語っています。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。

現在流行しているのはA(H1)pdm09型

現在主に流行しているのはA(H1)pdm09型で、2009年に新型インフルエンザとして流行したものですが、去年も流行しました。現在では他のインフルエンザの型と症状に特に大きな違いはないとされています。昨シーズンは去年の12月頃まではA(H1)pdm09とA(H3)が主に流行の中心でしたが、今年に入りB型(ビクトリア系統)という型が流行の中心となりました。1シーズンで何度もインフルエンザにかかるケースがありますが、違う型に感染し発症するというケースが考えられます。

インフルエンザワクチンは複数の型に対応

そのため、インフルエンザワクチンはそのシーズンに流行が予想される複数の型に対応して作られています。今シーズンのワクチンはA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B(山形系統)、B(ビクトリア系統)の4種類の型に対応するワクチンが接種されています。インフルエンザワクチンは、接種すれば絶対にインフルエンザにはかからないというものではありませんが、発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては一定の効果があるとされています。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。また、6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告さています。

インフルエンザワクチンの接種が始まっています

今シーズンのインフルエンザワクチンの接種が始まっています。13歳以上の方は原則1回接種、13歳未満の方は2回接種で、1回目の接種から1〜4週間の間隔をあけて2回目を接種することとされていますが、免疫効果を考慮すると4週間あけることが望ましいとされています。ワクチンの効果が現れるまでには2週間程度かかるので、流行前に早めに接種しておくことが重要です。また、65歳以上の方、60〜64歳で一定の基礎疾患(心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方)は、毎年1回定期接種としてインフルエンザワクチンの接種を受けることができます。これらの方は重症化のリスクが高い方ですので、早めにかかりつけの医師に相談してください。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第41週(10/7~13)、インフルエンザQ&A
国立感染症研究所:「インフルエンザとは」「インフルエンザウイルス週別検出状況2023/2024シーズン」「インフルエンザワクチン株」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

関連記事


RECOMMEND