国立感染症研究所の2024年第34週(8/19-25)速報データによると、インフルエンザの全国の定点あたり報告数は0.77。前週は0.63であったため、約22%の増加となっています。全国的に大きな流行とはなっていませんが、低調ながらも、ダラダラとした流行が続いています。沖縄県は18.3と依然高い状況が続いており、関東では、東京都(0.8)・神奈川県(0.7)・千葉県(0.89)・茨城県(0.83)と、流行開始の目安となる「1」に迫っています。また、検出されたウイルスのほとんどは、AH1型となっています。
例年、インフルエンザは、11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1~3月頃に患者数が増加し、4~5月にかけて減少していく傾向にあります。しかし、2023年は、例年の流行と違い、年間を通じて流行が続き、過去最高の患者報告数になりました。現状について、感染症に詳しい医師を取材しました。
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感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「インフルエンザの流行は、これから始まると考えています。現在、大きな流行ではありませんが、着実に増加しています。インフルエンザは、定点報告数が、0.4を超えると増加幅が伸び始める傾向があります。急激に増加すると予測していましたが、増加幅は、割と緩やかです。一方で、着実に増加しているため、健康に不安がある方などは、10月のワクチン接種開始時に、早めの接種を検討してみてもいいと考えています」としています。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。
かかったかなと思ったら、早めに医療機関を受診
また、インフルエンザの症状が現れたら、早めに医療機関を受診することが重要です。インフルエンザの治療薬としては、抗薬があります。その効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状により異なりますので、使用する・しないは医師の判断となりますが、服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され、鼻やノドからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには、用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。
インフルエンザ症状と対策
インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。
引用
国立感染症研究所 令和6年第34週速報データ
厚生労働省 インフルエンザQ&A、新型コロナウイルスに関するQ&A
那覇市医師会生活習慣病検診センター検査部2024年第34週~35週「那覇近郊拠点病院におけるインフルエンザ抗原の検出状況」
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏