【感染症ニュース】手足口病疑い31歳 手に数個の発疹・口内炎・38℃発熱… 手足口病全国定点8.03(9/9-15) 医師「東日本など高い値」
2024年9月30日更新
引き続き注意!
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国立感染症研究所の2024年第37週(9/9-15)速報データによると、手足口病の全国の定点当たり報告数は8.03。前週と比較すると約12%増加しています。都道府県別にみると、宮城県(15.27)・山形県(11.14)・神奈川県(10.81)・富山県(21.41)・石川県(12.66)・長野県(10.43)・静岡県(11.37)・愛知県(10.45)・滋賀県(11.28)・島根県(13.18)・山口県(11.42)・愛媛県(15.08)で、定点報告数10を超えています。東日本で高い値となっている都道府県が多く、注意が必要です。今回、ご紹介するのは、手足口病が疑われる症状が出た方の経験談です。

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手足口病疑い 31歳 東京都

1日目 風邪の初期のようなけだるさを感じる。体温は測定していないが平熱~微熱の感覚。左の手のひらに数個の発疹を認める。痛みなどは無し。
2日目 同じようにけだるさがあり、若干の関節痛。体温は37℃前後で平熱よりは高め。発疹が両手に出て増え始める。
3日目 発疹が足の裏にも出始め、このころから触れる、関節を曲げるなどを行うと発疹部分が痛むようになる。歩くたびにピリピリと刺激がある。体調は風邪の発熱時と同じで、熱、けだるさ以外は無い。体温は37℃-38℃。口内炎が出始め、舌に発生。頭痛も時折発生。
4日目 3日目同様。発疹は増え続け、おそらく4日目、5日目がピーク。手、足以外に臀部にも発疹。水疱になったものも出始める。口内炎が増え、食事の際に痛みを感じるようになる。若干喉の痛み・違和感もある。解熱剤を服用。
5日目 4日目同様。発熱が最も高く38.7℃。
6日目 熱は下がるが、発疹・口内炎・喉の痛みは継続。発疹の痛みは弱まってきたが、口内炎が10カ所程度出来、痛みは強い。発疹は赤みがなくなり、小さくなってきている。
7日目 けだるさもなくなり、発疹の痛みもほぼなくなる。頭痛もおおむね治まる。口内炎は依然痛い。
8日目 7日目とほぼ同じ。口内炎は初期にできたものが落ち着いてきた。
9日目 水疱が吸収された部分も多くなる。(完全には消えていない。)痛む口内炎も2カ所程度になる。
(医師による診断あり)

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「手足口病の患者報告数が、東日本を中心に、全国で増加しています。夏に、大きな流行があったため、流行は、下火になっていくと考えていましたが、再び増加しており注意が必要です。この度、お寄せ頂いた経験談、拝見しました。医師の診断を受けられたとの自己申告と症状の経過は分かったのですが、いつ、どんな医療機関で診断を受けられたのかが分からなければ、何ともお答えしようがないです。症状の経過などを拝見すると、手足口病の症状のようにも思えますが、他の感染症の可能性もあります。経験談をお寄せいただく方には、症状の経過だけでなく、医療機関で、どのように診断されたかを記載して頂くようお願いします。今回、お寄せ頂いた方も、つらい思いをされたと思われます。一日も早い回復を願っています」としています。

手足口病とは?

手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発しんが出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。子どもを中心に流行し、例年報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています。病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他コクサッキーウイルスA10などが原因になることがあります。

感染経路は?

感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染です。特にこの病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは、子どもたちの同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすい環境であることなどから、注意が必要です。また、乳幼児では手足口病の原因となるウイルスに感染した経験がない者の割合が高いため、感染した子どもの多くが発病します。

主な症状は?

感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜3mmの水疱性の発しんが出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はなく、ほとんどの発病者は数日間のうちに治る病気です。 治療のための特効薬はなく、対症療法になります。しかし、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。

手足口病の予防は?

手足口病には有効なワクチンはなく、発病を予防できる薬もありません。治った後も比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあり、小さな子どものおむつの交換などから感染することがあります。一般的な感染対策は、手洗いをしっかりすることと、排泄物を適切に処理することです。保育施設などの乳幼児の集団生活では、子どもも職員も流水と石けんで十分に手を洗うことが重要です。また、タオルの共用はしてはいけません。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2024年第37週、手足口病とは
厚生労働省:手足口病に関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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