厚生労働省が2024年8月23日に発表した令和6年第33週(8/5-11)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は8.50。前週と比較するとおよそ19%減少しています。都道府県別の定点当たり報告数では、岐阜県(17.46)・青森県(13.72)・岩手県(15.06)・福島県(14.16)・茨城県(14.27)・愛知県(13.15)・鳥取県(14.72)・島根県(14.11)・佐賀県(13.50)となっています。東海地方・東北地方で定点が10を超えているエリアがあり、注意が必要です。
【2024年】8月に注意してほしい感染症!新型コロナ8月末に向け増加の予測 医師「患者の受け入れ態勢限界迎えつつある」 RSウイルス感染症・インフルエンザの動向要注視
今回、ご紹介するのは、東京都から寄せられた48歳の方からの経験談です。
コロナ経験談 48歳 東京都
熱が出たのは8/12からだが、遡って記録する
8/7 出勤、午後は定期通院で早退し耳鼻科受診
受診後に近くでやっていた物産展を見て歩き、アイスを買い食い(マスクはしていたが、会社でのランチ、買い食いのときは外していた)
8/8 在宅勤務で家族以外と接触なし
8/9 出勤。マスクはしていたがまわりにノーマスクで咳をしている人や風邪症状の人数人あり。ランチのときや、お茶を飲む時はマスクを外していた
8/10 美容院。双方マスクしていたが美容師が時折咳き込んでいた
8/11 午前中から友人と5人で集まり、ランチ、お茶の時間と夕方まで過ごす。ひとりノーマスク、ほか全員マスクありだが、食事やお茶の時間は全員ノーマスク。帰宅後、寒気を感じ厚着をした。(クーラーで冷えたかと思っていた)
8/12 朝から節々が痛い。体が暑い。36.9℃だが、喉に違和感、明らかに体調おかしく抗原検査キット使用も陰性。熱がどんどん上がって38.3℃。インフルエンザかもしれないと思うが、盆で病院がやっていない。
8/13 38.0℃ 食欲なし、家族がやってる病院を探してくれ受診。検査結果、コロナ陽性。
カロナールのみ処方される この日までは高熱だがまだ元気?はあった
8/14 喉が焼けるように痛い。頭痛。カロナール飲んでも頭痛が治らない。熱は37℃台
倦怠感で起きているのがしんどい 食欲なし。ここまで水分とゼリーのみ
8/15 喉が焼けるように痛い。頭痛も治らない。倦怠感ひどくスマホ持つのも見るのもしんどい。熱は下がった。食べなくてはと、お粥や、うどん少し。
8/16 喉の痛みマシになる。頭痛もしない。食べて直さなくてはと、朝うどん、昼にとうもろこしご飯を食べたあと下痢が始まる。5回くらい下痢。咳もひどくなり、えづいて辛い。胃痛、腹痛で一晩中苦しむ。もちろん夜は絶食
8/17 喉の痛みはかなり改善。サラサラの鼻水が急に出るようになった。下向くとツーと流れてくる。乾いた咳が辛くて、家族に咳止めとヴェポラップ買ってきてもらった。
腹痛治まってるが、食べるとまた下痢しそうで怖くて食べられない。空腹感もなし。
また微熱出てきて37℃。
書いてなかったが、初日からずっと不正出血(生理以外の出血)あり。これはワクチンの時にも不正出血があり、2回目接種を断られた経緯あり体質かもしれない。5日間で仕事復帰とか、とても無理です。在宅出来るでしょみたいな空気もあり、体調回復していないのに辛すぎます。
感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「第33週は、お盆期間のため、医療機関が休診の影響もあるため翌週以降の新型コロナの感染動向に注視が必要です。8月に入ってから、減少傾向のように見えますが、2023年のピークも8月末でした。お盆期間の人流の変化の影響も考えなければなりません。確かに、私の勤務先の入院患者数は、7月下旬と比較し、少し減って落ち着きを取り戻しつつあります。しかし、それでも、毎日、新型コロナ患者が搬送され、入院されています。中には、肺炎を発症しているケースもあり、まだ警戒を解くには早いと考えています。今回、お寄せ頂いた経験談ですが、直接診察した訳では無いので、分からない点もあります。しかし、発熱・咳・腹部症状と症状が長引いている印象です。高齢者であれば、抗ウイルス薬の服用について、医師から話があったのか不明ですが、年齢が若い方ですので、医師から勧められなかったのかも知れません。実際に、早めに服用していれば、そこまで悪くならなかったのにと言うケースも目にしています。症状が長引く場合は、倦怠感・息切れ・息苦しさ・集中力の低下・咳などの後遺症(罹患後症状)が現れるケースもあります。症状が改善されない場合、一度、医療機関に相談してみてください」としています。
新型コロナウイルス感染症とは?
新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。
夏の感染対策のポイント
感染対策としては従来どおり、「換気」「手洗い・手指消毒」が有効です。冷房を入れていても換気を心がけ、換気扇も活用してください。ウイルスは手から目や鼻、口に入ることがあるので、流水や石けんによる手洗い、アルコール製剤などでの手指消毒が有効です。また、高齢者や基礎疾患のある方が感染すれば、重症化リスクが高まります。夏休みやお盆で帰省するなど高齢の方と会う場合や、大人数で集まる場合は、感染予防を心がけ体調を整えるようにしましょう。夏の暑さのある中で、屋外でのマスク着用は、現実的ではありませんが、医療機関や高齢者施設など感染した場合のリスクが高い方がいらっしゃる施設を訪問するときには、感染させないためにもマスクの着用が効果的です。
ワクチン後期間経過で抗体価が低下?
安井医師は医療現場の状況をこう語っています。「現在流行している株がKP.3.3に置き換わっても、症状はそれほど変化していないと感じています。しかし肺炎の方が多くなっていて、高齢者の方でも肺炎がみられるようになりました。これは以前にはなかったことです。原因として考えられるのは、ワクチンを接種してから多くの方が6か月以上経過していて、抗体価が下がっているのではないかということです。今年の秋冬に自治体による定期接種が予定されていますが、この夏の流行は重症化に十分注意する必要があると思います」
引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第33週、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナワクチンについて
国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報発生動向の状況把握2024年6月
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏