【感染症ニュース】新型コロナ全国定点10.48(8/5-11) 2週連続で減少も医師「入院患者減らず。9月までは要警戒」
2024年8月16日更新
お盆明けの動向に要注視
お盆明けの動向に要注視
厚生労働省が2024年8月16日に発表した令和6年第32週(8/5-11)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は10.48。前週と比較するとおよそ21%減少しています。都道府県別の定点当たり報告数では、佐賀県が最も多く19.59ですが、九州地方などの流行は、減少傾向となっています。現状について、感染症に詳しい医師を取材しました。

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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「第32週(8/5-11)の定点報告数は、10.48と、第30週を境に、2週連続の減少となりました。翌33週も、お盆休みで医療機関が閉まっていることから、減少することが予測されます。私の勤務先の現在の入院状況は、定点報告数の減少とは異なり、落ち着きをみせていません。病床数の関係で、新規の受け入れが困難な状況が続いていますし、朝、出勤すると救急搬送された方などが新たに入院されているような状態です。まだまだ警戒を解くわけにはいきません。新型コロナウイルス感染症の動向については、9月頃まで注視が必要です。気候的に、暑さが和らぎ少し涼しくなると、患者報告数も減ってきます。気候的に落ち着いてくるまでには、しばらく時間がかかります」としています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

夏の感染対策のポイント

感染対策としては従来どおり、「換気」「手洗い・手指消毒」が有効です。冷房を入れていても換気を心がけ、換気扇も活用してください。ウイルスは手から目や鼻、口に入ることがあるので、流水や石けんによる手洗い、アルコール製剤などでの手指消毒が有効です。また、高齢者や基礎疾患のある方が感染すれば、重症化リスクが高まります。夏休みやお盆で帰省するなど高齢の方と会う場合や、大人数で集まる場合は、感染予防を心がけ体調を整えるようにしましょう。夏の暑さのある中で、屋外でのマスク着用は、現実的ではありませんが、医療機関や高齢者施設など感染した場合のリスクが高い方がいらっしゃる施設を訪問するときには、感染させないためにもマスクの着用が効果的です。

ワクチン後期間経過で抗体価が低下?

安井医師は医療現場の状況をこう語っています。「現在流行している株がKP.3.3に置き換わっても、症状はそれほど変化していないと感じています。しかし肺炎の方が多くなっていて、高齢者の方でも肺炎がみられるようになりました。これは以前にはなかったことです。原因として考えられるのは、ワクチンを接種してから多くの方が6か月以上経過していて、抗体価が下がっているのではないかということです。今年の秋冬に自治体による定期接種が予定されていますが、この夏の流行は重症化に十分注意する必要があると思います」

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第32週、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナワクチンについて
国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報発生動向の状況把握2024年6月

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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