【感染症ニュース】マイコプラズマ肺炎全国定点0.78(7/22-28) 医師「大阪府の病院で耐性菌の報告があがっている」 大阪府で定点3.22と高い水準
2024年8月7日更新
流行地域は注意
流行地域は注意
国立感染症研究所の2024年第30週(7/22-28)速報データによると、この週の「マイコプラズマ肺炎」定点あたり報告数は0.78。前週の0.7と比較し11.4%ほど増加しています。去年、中国で大きな流行があったマイコプラズマ肺炎。日本では4年周期でオリンピックがある年に流行を繰り返してきましたが、新型コロナウイルスの影響で4年前の2020年には流行はありませんでした。しかし今年は8年ぶりの流行の兆しが見え始めています。

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マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」に感染することによって起こる呼吸器感染症です。肺炎マイコプラズマは、自己増殖が可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類されています。小児や若い人の肺炎の原因としては比較的多いものの一つで、例年患者として報告されるもののうち約80%は14歳以下ですが、成人の報告も見られます。マイコプラズマ肺炎は1年を通じてみられますが、冬にやや増加する傾向があります。

症状は?

発熱や全身けん怠感(だるさ)、頭痛、たんを伴わない咳などの症状がみられます。せきは少し遅れて始まることもあります。咳は熱が下がったあとも長期にわたって(3〜4週間)続くのが特徴です。多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎ですみ、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となり、重症化することもあります。一般に、小児の方が軽くすむといわれています。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長の安井良則医師は「マイコプラズマ肺炎の定点報告数が着実に伸びています。特に、大阪府では、3.22と多くの報告があがっており、今後の動向には注意が必要です。私の勤務先でも、入院が必要な重症例も増加しています。先日、入院された10代の方は、かかりつけ医の迅速検査で、マイコプラズマ肺炎と判明。処方された薬が効かないとのことで、当院に入院されることとなりました。マイコプラズマ肺炎の治療には、通常マクロライド系の抗菌薬が第一選択で用いられますが、それが効かない耐性菌の出現が問題になっています。まだ、病院レベルの調査で、大規模なデータでは無いのですが、大阪府の他の病院の調査では、7割くらいが耐性菌だったとの話もありました。10代の患者さんも、薬を変えたところ、症状が回復し退院されました。マイコプラズマ肺炎は、

マイコプラズマ肺炎は、正しく診断されていないと、正しい治療を行うことが出来ません。原因を早く特定し適切な治療を受け、重症化を防いでいただければと思います」としています。

感染経路は?

感染は飛沫感染が多く、患者のせきの飛沫を吸いこんだり、患者と身近で接触したりすることにより感染すると言われています。家庭のほか、学校などの施設内でも感染の伝播がみられます。感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、2〜3週間くらいとされています。

予防法は?

飛沫感染はインフルエンザや新型コロナなどでも起きるので、同じ感染対策が有効です。普段からの手洗い、そして部屋の換気。患者の咳から感染するので、咳の症状がある場合にはマスクを着用するなど、咳エチケットも重要です。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ令和6年第30週、マイコプラズマ肺炎とは
厚生労働省:マイコプラズマ肺炎に関するQ&A(平成23年12月作成、平成24年10月改訂)

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室長 安井良則氏

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