【感染症ニュース】手足口病全国定点8.45(6/24-30) 前週比34%増加 医師「かなり大きな流行になりつつある」
2024年7月10日更新
引き続き注意!
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手足口病の患者が急増しています。国立感染症研究所の2024年第26週(6/24-30)速報データによると、手足口病の全国の定点当たり報告数は8.45。14週連続増加中で、前週(第25週)6.31と比較すると約33%増加しています。
都道府県別にみると、三重県22.73・兵庫県13.42・鹿児島県12.8・香川県12.75・埼玉県12.51・滋賀県11.86・岡山県11.43・岐阜県11.23で多くの患者報告数が上がっています。また、36の都府県で警報基準である5.0を超えています。現状について、感染症に詳しい医師を取材しました。

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手足口病とは?

手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発しんが出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。子どもを中心に流行し、例年報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています。病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他コクサッキーウイルスA10などが原因になることがあります。

感染経路は?

感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染です。特にこの病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは、子どもたちの同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすい環境であることなどから、注意が必要です。また、乳幼児では手足口病の原因となるウイルスに感染した経験がない者の割合が高いため、感染した子どもの多くが発病します。

主な症状は?

感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜3mmの水疱性の発しんが出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はなく、ほとんどの発病者は数日間のうちに治る病気です。治療のための特効薬はなく、対症療法になります。しかし、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「手足口病の患者報告数が、全国的に増加しており、かなり大きな流行になりつつあります。速報データは、6月末のものですので、ちょうど、今現在辺りの第28-29週が、例年のピークになります。夏休み前に、ピークアウトすることが多いですが、見極めが必要な時期です。国立感染症研究所のウイルス検出状況によると、検出されているのは、CA6型が主流となっています。CA6型による手足口病の症状は、発疹が大きく、体幹部にも表れることがあり、発疹の部位によっては、痛みやかゆみを伴うこともあります。また、手足口病の症状が消えた後に、爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)と言って、手足の爪が、一時的に脱落してしまうことがあります。保護者の方は、驚くことも多いですが、一時的な症状なので、特に気にされることもないと考えます。深刻な合併症を併発することは、まれであり、お子さんの場合は、自然に治癒していく場合も多いです」としています。

手足口病の予防法は?

手足口病には有効なワクチンはなく、発病を予防できる薬もありません。治った後も比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあり、小さな子どものおむつの交換などから感染することがあります。一般的な感染対策は、手洗いをしっかりすることと、排泄物を適切に処理することです。保育施設などの乳幼児の集団生活では、子どもも職員も流水と石けんで十分に手を洗うことが重要です。また、タオルの共用はしてはいけません。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2024年第26週
厚生労働省:手足口病に関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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