【感染症ニュース】RSウイルス感染症全国定点1.42 報告数が1.4倍に急増 近畿地方を中心に全国に拡大か…
2024年4月24日更新
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乳児は重症化のおそれが!
乳児は重症化のおそれが!
国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2024年第15週(4/8〜14)によると、全国のRSウイルス感染症の定点あたり報告数は1.42。前週(第14週)から約1.4倍増加しました。都道府県別の定点あたり報告数は、奈良4.18、大阪3.95、福井3.64、山口2.49、三重2.20、北海道1.95、京都1.87、埼玉1.82、宮崎1.78で多くなっています。

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RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症は、RS(respiratory syncytial)ウイルスを病原体とする呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の人が1度は感染するとされています。症状としては、発熱や鼻汁などの軽い風邪のような症状から重い肺炎まで様々です。初回の感染時にはより重症化しやすいといわれており、特に生後6か月以内にRSウイルスに感染した場合は、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療など)を行います。

乳幼児の感染には要注意!

また、初感染の乳幼児においては、約7割は鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに警戒しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。重篤な合併症として無呼吸発作、急性脳症等を起こすことがあります。さらに、生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。

感染症に詳しい医師は・・・

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「RSウイルス感染症は、新型コロナが蔓延した3年の間にも流行をみせていました。今年の患者数の増加の傾向は、2021年や2023年とよく似ていて、ゴールデンウイークで一旦減るものの、その後は7月頃をピークに全国的に広がっていくものと予測しています。RSウイルス感染症は、大人や何度か感染したことがある子どもにとっては軽い風邪程度の症状、あるいは症状が出ないこともありますが、初感染の乳児には非常にインパクトのある感染症で、命に関わることもあります。RSウイルス感染症には、子どもに接種することができるワクチンがまだなく、予防が難しい感染症です。私が先週、定期接種を行った子どもたちの中には、すでにRSウイルスに感染して入院したことがある乳幼児がいました。現場の肌感覚として、RSウイルス感染症の流行が拡大していると感じています」としています。

RSウイルスの感染経路は?

RSウイルス感染症の特徴として、予防しにくいということがあります。RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で感染が広がります。RSウイルスに感染している人との直接の接触や、感染者が触れたことによりウイルスがついた手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップなど)を触ったり、舐めたりすることで感染する接触感染。あるいはRSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、あるいは会話などをした際に口から飛び散る飛沫を浴びて吸い込むことによる飛沫感染で広がります。手洗いや身の回りのものの消毒など、一般的な感染対策が予防につながります。また、乳幼児に関しては、周りの大人やきょうだいから感染することが多く、風邪のような症状があるときには部屋を分けるなど、乳幼児になるべく近づかないなどの配慮が必要です。

乳幼児の受診の目安は?

特に乳幼児がRSウイルスの感染した場合、急激に症状が悪化することがあります。保護者には、負担になるかも知れませんが、目を離さないようにすることが重要です。医療機関の受診の目安ですが、機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子をみて、かかりつけ医にご相談ください。ただし、呼吸が苦しそうだったり、食事や水分摂取ができなかったりする時は、直ちに医療機関への受診を検討してください。

引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2024年第15週(4/8〜14)、
厚生労働省HP:RSウイルス感染症Q&A(令和6年1月15日改訂)

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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