【感染症ニュース】新型コロナ全国定点6.99で前週比減 48歳のどの痛み・発熱38℃ 解熱鎮痛薬服用継続に医師が懸念… インフルエンザも全国定点13.96で前週比減
厚生労働省が2024年3月8日に発表した2024年第9週(2/26-3/3)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は6.99。前週(2/19-25)の7.92と比べて、減少しました。広島県5.51(前週7.51)・佐賀県10.00(前週7.95)・静岡県10.09(前週7.42)のように、減少した県がある一方で、増加・横ばいのエリアもあり、引き続き注意が必要です。また、同日に発表された「インフルエンザの発生状況について」によると、2024年第9週(2/26-3/3)のインフルエンザの定点報告数は、13.96。前週(2/19-25)の16.76から減少しています。しかし、北海道・東北地方では、前週比で増加しているエリアもあります。現状について、感染症に詳しい医師に聞きました。
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感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「新型コロナウイルス感染症の患者報告数が、全国的に減少していることについて、安堵しています。しかし、減少しているとは言え、現在も、入院患者さんは、第10波の最大入院数の半数程度は、いらっしゃいます。50代の方もいらっしゃいますが、90代など後期高齢者が中心で、肺炎と診断された方もいます。また、施設での、クラスター発生も耳にしており、その数は1施設で、入所者・職員の方を合わせ70人近くにものぼっています。高齢者の方や、施設での集団感染などに、引き続き注意が必要と考えます。インフルエンザは、今後、寒さが和らぐことで流行に適した季節ではなくなっていくため、減少していくと考えています。」としています。
新型コロナの流行は、落ち着きをみせ始めていますが、それでも、『感染症・予防接種ナビ』には、経験談が寄せられています。
新型コロナ経験談 48歳 神奈川県
2/16 (金) 夜から悪寒、関節痛、頭痛、喉の痛みが発現。熱は37.3度
2/17 (土) 起床時に、倦怠感、頭痛、喉の痛みがあり、熱が38.3度まで上昇。午後に発熱外来のある近隣のクリニックを受診。コロナとインフルエンザの抗原検査を受けた所、コロナ感染を確認し、以下の治療薬を処方される。ラゲブリオカプセル 200mg 朝夕 各4カプセル X 5日分。カロナール錠200mg 朝昼夕 各2カプセル X 5日分。トラネキサム酸錠500mg 朝昼夕 各1カプセル X 5日分。
2/18 (日)起床時に、喉の痛みと大量の痰と鼻水が出る。頭痛は継続。熱は36.4度まで下がる。激しい咳とくしゃみが出始める。
2/19 (月) 起床時に、喉の痛みと大量の痰と鼻水が出る。頭痛、鼻水、激しい咳とくしゃみは継続。熱は、37.3度に上昇。腹痛と下痢が出現。夕方に熱を測ると、36.1度に下がる。
2/20 (火) 起床時に、激しい咳。頭痛、喉の痛みと鼻水は軽快。痰の量は少なくなる。熱は、36.0度で平熱となり安定。腹痛と下痢も軽快。
コロナワクチンは、モデルナ社を3回受けました。食欲はあったので、鍋やご飯もの和食を食べ、納豆、ヨーグルトやカリンシロップお湯割りを積極的に飲み、喉を潤すようにしていました。
医師は…
安井医師は、「症状は比較的軽いようですが、懸念点があります。直接診断した訳ではないので、分からない部分もありますが、朝昼夕の3回、解熱鎮痛剤を服用されたとのことですね。辛い症状が出た時に、服用するのは問題ないのですが、これだけ服用を続けてしまうと、いつ熱発し、いつ解熱したのかが、分からなくなってしまいます。不安かも知れませんが、症状が辛い時だけ解熱鎮痛剤を服用するようにしてください。今回、お寄せ頂いた方は、症状が軽く済んだようにみえます。しかし、発熱が治まっているようにみえてしまうと、検査も治療も後手に回ってしまい、悪化して、肺炎を発症しているのに、見過ごされてしまうケースもあり得ます。カロナールやロキソニンなどは、辛い時だけ服用するようにしてください」としています。
新型コロナウイルス感染症とは
新型コロナウイルス感染症は、発熱・鼻水・のどの痛み・咳などといった、風邪のような症状から始まります。また、頭痛や強い倦怠感などが良く見られる症状です。下痢や味覚・嗅覚障害を伴うことも少なくはありません。感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不じゅうぶんであったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。手洗いが大切な理由は、ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があるからです。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗いましょう。また、感染拡大を防ぐため、人と人との距離を保つことが重要です。
インフルエンザ症状と対策
インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。
引用
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」「インフルエンザの発生状況について」令和6年第9週、インフルエンザQ&A、新型コロナウイルスに関するQ&A
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏