厚生労働省が2月16日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第6週(2/5-11)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は23.93。これで5週連続増加となりました。京都、奈良、福岡、佐賀、熊本、大分、宮崎の各県で警報レベル(報告数30)を超えています。
【2月に注意してほしい感染症!】新型コロナ増加に勢い新たな流行株JN.1への置き換わり一因か… インフルエンザ動向に注意
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。
B型が流行の主流に
去年12月に一度ピークを迎えたインフルエンザ。その時の流行株はA型(AH1,AH3)でした。一方、年明けから主流となっているのはB型のインフルエンザウイルスです。このことが、患者数の増加につながっていると考えられています。
感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「依然としてインフルエンザの流行は続いていますが、その伸びは頭打ちの傾向にありつつあるように見えます。しかしまだ各地で多くの患者が出ていますし、今は西日本が多いのですが、今後東日本にも広がる可能性もあります。これから患者数は減少していくと思いますが、急激に減少するのか、あるいはゆるやかに減少するのか、注意してみていく必要があると思います」としています。
発熱、ノドの痛みなど、症状がある時にはすぐに医療機関を受診すること
発熱やノドの痛みなど、インフルエンザの疑いがある症状がある場合について、安井医師は「インフルエンザで重症化しない、あるいは早く治すためには、抗ウイルス薬による治療が有効です。早期に治療することで体内のウイルス量が減り、ご自身の症状も和らぐほか、他の人にうつすリスクも低減することができます。何らかの症状を感じた場合は、すぐに医療機関を受診してください」と話しています。
抗インフルエンザウイルス薬の服用の適切な時期は、発症してから48時間以内です。発熱期間は通常1〜2日間短縮され、鼻やノドからのウイルス排出量も減少します。一方症状が出てから48時間以降に服用を開始した場合は十分な効果は期待できません。また病状にもよりますので、抗インフルエンザウイルス薬を使用する・しないは医師の判断になります。
安井医師:「インフルエンザの抗ウイルス薬にはいろいろな種類があります。飲み薬のほか、吸入薬もありますので、医師と相談の上ご自身に合った薬を選んでいただければと思います。職場や学校など休みにくい方もいらっしゃると思いますが、他の人にうつす可能性もありますし、医師の指示に従ってゆっくり休んでいただいて、きっちり治してから職場や学校に復帰していただきたいと思います」
1週間で学級閉鎖が約5000件!
学校や保育園・幼稚園での流行も続いていて、学級閉鎖は4999、学年閉鎖は1022、休校は43件ありました。特に小学校での閉鎖が多くなっています。子どもたちを中心にインフルエンザの流行が依然として続いていることがわかります。安井医師は、「3月になると、冬の感染症から夏の感染症に入れ替わる兆しが見えてくると思いますが、今月はまだまだ冬の感染症に留意が必要です。インフルエンザを始め新型コロナウイルス感染症、溶連菌感染症などの流行も続いていますし、これからも感染症に注意しながら日々を過ごしていただければと思います」と話しています。
引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第6週(2/5-2/11)、インフルエンザQ&A
国立感染症研究所:「インフルエンザとは」「インフルエンザウイルス週別検出状況2023/2024シーズン」
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏