厚生労働省が、2024年1月19日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第2週(1/8-14)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は12.99。前週(令和6年第1週)から約0.3増加しました。全国で警報レベル(30人)の都道府県はありませんが、依然として流行は続いています。しかし、第1週は、年始休暇。第2週も祝日があり、診療日数が減っていることには注意が必要です。
【2024年】1月に注意してほしい感染症!インフルエンザ年明けも引き続き注意 コロナは増加予測新たな流行株への置き換わりに注視必要 要注意はマイコプラズマ肺炎
首都圏で増加傾向に
首都圏では、2023年末ほどでは無いですが、やや増加傾向にあります。前週との比較では、東京7.97→10.11、神奈川7.77→11.96、埼玉13.82→15.88、千葉14.58→17.85と軒並み増加しており、ここから再び流行が広がることが懸念されます。
感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、
「年始の第2週のデータということで、学校が始まったばかりであり、連休の影響もあることから、数字的には前週とほぼ同じとなっていますが、まだまだ油断をしてはならないと思います。見極めには、翌第3週以降のデータが必要です。これからさらに流行していくのか、それとも流行が終わっていくのか予測は難しいのですが、一つ言えるのはこれまで流行していたA型とともに、これからはB型が増えていくのではないかということです。今シーズン、既にA型に罹患された方も、B型に感染する可能性はありますので、今後、感染者が増えていく要因の一つになると考えています」としています。
インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。
昨年末からB型が増加
国内のインフルエンザウイルスの検出状況をみると、直近5週間(2023年第50週〜2024年第2週)では、A型のAH3亜型が60%、AH1pdm09が33%、B型が7%となっていますが、B型は昨年末から増加傾向にあります。症状については、A型とB型の違いはないとされています。安井医師は、「インフルエンザワクチンの接種をされている方も多いと思いますが、今シーズン接種したワクチンは、今シーズンに流行すると予想されている型に対応したもので、A型・B型両方に対応したものです。ワクチンは発病を予防することや、発病後の重症化を予防することに関して一定の効果があるとされています。ワクチンを接種していても発病することはありますので、引き続き、密室の換気や手洗いなどの予防を普段から心がけていただければと思います」と語っています。
かかったかなと思ったら、早めに医療機関を受診
また、インフルエンザの症状が現れたら、早めに医療機関を受診することが重要です。インフルエンザの治療薬としては、抗薬があります。その効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状により異なりますので、使用する・しないは医師の判断となりますが、服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され、鼻やノドからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには、用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第2週(1/8-15)、インフルエンザQ&A
国立感染症研究所:「インフルエンザとは」、「週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数2023年第36週〜2024年第2週(1/18現在)」
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏