【感染症ニュース】溶連菌感染症過去最大レベルに 専門医「更に増加の可能性ある」 お子さんの体調に不安を感じたら医療機関受診を
2023年11月29日更新
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流行地域は注意
流行地域は注意
国立感染症研究所の第46週(11/13-19)速報データによると、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)の全国の定点あたりの報告数は3.79。前週比で約1.13倍の増加となりました。全国的に患者が発生していますが、エリア別にみると北海道・関東地方・九州地方で多くの患者報告数があがっています。また、都道府県別の上位は、鳥取県(8.11)宮崎県(6.92)石川県(6.83)となっています。

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A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、レンサ球菌という細菌を病原体とする感染症です。略して「溶連菌感染症」ということもあります。主に感染している人の口から出る飛沫(しぶき)などを浴びることによって感染する「飛沫(ひまつ)感染」や、おもちゃやドアノブなどに付着している病原体に触れた手で口や眼などから感染する「接触感染」、そして食品を介して「経口感染」する場合もあります。

感染症の専門医は…

感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「溶連菌感染症は、今後も、増加していく可能性がじゅうぶんにあります。ここ3年間ほどは、大きな流行がなかったため、感受性者が増えていることも要因の一つと考えられます。また、溶連菌感染症は、集団生活の場で感染がひろがることから、保育園・幼稚園などに入って1年目のお子さんは、注意が必要でしょう。先日、勤務先の職員の方のお子さんが、保育園で、感染症をもらってきてしまうケースを耳にしました。お子さんは、成長段階で、いつかは感染します。こうやって免疫をつけていくものなので、仕方ないと考えていますが、溶連菌感染症は、様々な合併症もあります。お子さんの体調に不安を感じた保護者の方は、小児科に検査キットもありますので、早めに医療機関を受診して、早期に治療を行うことが大切です」としています。

溶連菌感染症の症状は?

主な症状としては、扁桃炎(へんとうえん)、伝染性膿痂疹(のうかしん)、中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎など、さまざまな症状を呈します。潜伏期間は2〜5日。突然の発熱と全身倦怠感、ノドの痛みなどが起こり、しばしば嘔吐を伴うことがあります。その後、舌がいちご状に赤く腫れ(苺舌)、全身に鮮紅色の発しんが出る「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、発しんがおさまった後、指の皮がむけることがあります。伝染性膿痂疹は「とびひ」とも呼ばれています。発症初期には水疱(水ぶくれ)がみられ、化膿したり、かさぶたを作ったりします。

予防法・治療法は?

溶連菌感染症の予防としては、患者との濃厚接触をさけることが最も重要であり、うがい、手洗いなどの一般的な予防法も有効です。治療にはペニシリン系薬剤が第1選択薬ですが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応となり、また第1世代のセフェムも使用可能です。いずれの薬剤も少なくとも10日間は確実に投与することが必要です。除菌が思わしくない例では、クリンダマイシン、アモキシシリン/クラブラン酸、あるいは第2世代以降のセフェム剤が使用される場合があります。安井医師は「溶連菌感染症は様々な合併症を併発する可能性があるので、早期治療が重要です。発熱やノドの痛みなど、初期に起こる症状がある場合は、早めに医療機関を受診していただければと思います。溶連菌感染症は抗菌薬で治りますが、治療が遅れると、それだけ症状が長引くおそれがあります。症状の改善、そして合併症の予防という点においても、早期治療が重要です」としています。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ第46週(11/13-19)、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは、劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏


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