【感染症ニュース】咽頭結膜熱全国で警報レベルに 炎症で傷ついたノドから細菌が二次感染の恐れも… 長引く症状あれば再度医療機関受診を
2023年11月22日更新
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1999年以来、過去最大の流行!
1999年以来、過去最大の流行!
国立感染症研究所の第45週(11/6-12)速報データによると、咽頭結膜熱の全国の定点あたりの報告数は3.23。これは、現在の方法で集計を始めた1999年以来最多であり、全国においては初めて、1週間で1定点あたりの患者報告数が3を超える警報レベルとなりました。前週からは0.76ポイント、約30%の増加となっています。都道府県別では、福岡が7.41で最多となっており、北海道、富山、石川、福井、奈良、佐賀、長崎、沖縄で4を超えています。

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咽頭結膜熱とは?

咽頭結膜熱とは、アデノウイルスが原因の感染症です。症状としては、38~39℃の発熱、ノドの痛み、結膜炎があります。5〜7日の潜伏期間の後に発症。まず発熱があり、頭痛、食欲不振、全体倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛などがあり、3〜5日程度持続します。特に治療法はなく、対症療法が中心となります。子どもに多い感染症で、罹患年齢は5歳以下が約6割を占めているというデータもあります。生後14日以内の新生児に感染した場合は、全身性感染を起こしやすく、重症化する場合があることが報告されています。

感染経路は?流行時期は?

咽頭結膜熱は、通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染でうつります。プールの水や、タオルを共用することで感染が広がることで「プール熱」と呼ばれることもあります。なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。かつては例年、夏に流行のピークがあり、秋から冬にかけても患者が増加傾向になりました。しかし、今年の流行の傾向は過去には全くなかったことです。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「咽頭結膜熱がついに全国定点で警報レベルを超えました。これは今までになかったことであり、これから先についても予測が大変難しくなっています。咽頭結膜熱は、アデノウイルスに感染することによって起こる感染症で、ウイルスが検出され、発熱・ノドの痛み・結膜炎の3つの症状が揃って、初めて咽頭結膜熱という病名がつきます。しかしその3つが揃わない場合もあるので、最近は『アデノウイルス感染症』と呼ぶ場合もあります。かつては主に子どもがかかる病気でしたが、新型コロナウイルスで3年間大きな流行がなかったことから、大人の方でも免疫が弱まり、発症するケースが増えているようです」と語っています。

アデノウイルス陽性 35歳・千葉県

千葉県の35歳の方は、子どもからアデノウイルスをうつされた疑いがあるそうです。以下、経験談です。

【11/1〜11/9】
子供がアデノウイルスに感染
熱 37.5〜39.5 行ったり来たりしたが、4日目には熱も下がり食欲が戻る その後保育園登園 様子見も含め全部で9日間休み

以下母親感染
【11/10〜11/12】
深夜〜朝 38.8〜39.5
・腰の痛み
・喉の痛み
・リンパ節の腫れ痛み
・目の奥の痛み
・頭痛
・食欲不振
頭痛が酷く、市販の頭痛薬を飲んだが全く効かない
アセトアミノフェン系の薬を服用したところいったん症状が落ち着いたが、薬が切れると、頭痛、高熱が始まる。
【11/13】
病院へいき、アデノウイルスと診断
深夜〜朝 38.8〜39.5
・腰の痛み
・喉の痛み(扁桃腺に白いつぶつぶ)
・リンパ節の腫れ痛み
・目の奥の痛み
・頭痛
・食欲不振
・鼻水が現れる
ネバネバした鼻水が喉に落ちてきて、呼吸できなくなり不快すぎるわずかに血も混ざっている。変わらず昼〜深夜になると熱が37.5〜39.5まで行ったり来たり。朝は大量の汗をかくおかげで、熱は36.7まで下がるが、いつまでこの体調不良が続くのか…。
いっそう入院した方が楽…。インフルエンザより熱がしつこいし、喉の痛みが酷く食事もまともにとれない。子は回復が早かったが、大人はここまで長引くのか。アデノウイルスワクチン開発してほしい。毎日不安でしかない。
…体験談はここまでです。このように、家族で感染してしまうとみられるケースもあるようです。

アデノウイルスで傷ついた粘膜から、細菌に感染してさらに重くなるケースも

アデノウイルスに感染してノドが痛くなるのは、ノドの粘膜がウイルスによって炎症を起こし、壊れてしまうからです。体験談にもありますが、ノドの痛みがひどく、水分も食事もとれないということもあります。また、その痛みがさらに長引くケースもあるということです。安井医師は「咽頭結膜熱は3〜5日、だいたい4日程度で症状がおさまるのですが、それ以上長引く場合は、傷ついたノドの粘膜から細菌が入り込み、2次性の感染症にかかっている場合があります。細菌は口腔内に住んでいる常在菌の場合もあります。アデノウイルス感染症は対症療法による治療となりますが、症状が長引いている場合は他の治療が必要なケースもあります。あまり症状が改善されない場合は、医療機関を受診することをお勧めします」と語っています。

引用
国立感染症研究所:「IDWR速報データ2023年第45週」「咽頭結膜熱とは」「アデノウイルスの種類と病気」
厚生労働省:咽頭結膜熱について

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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