厚生労働省が10月6日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和5年第39週(9/25-10/1) によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は9.57で「注意報レベル(報告数が10)」一歩手前です。前週から約1.35倍増加しており、首都圏と四国・九州では10を超える県が多く、沖縄は警報レベルの30に近づいています。
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■インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。
■感染症に詳しい医師は…
感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「例年であれば、夏場は、ほとんどインフルエンザの感染報告が無いのですが、今年は感染報告が続きました。そしてそのまま現在に至り、寒くなるにつれ患者数が増加しています。ただし、今のところ急増という感じではありません。流行の傾向は例年とは全く異なっており、これからどのように流行が進んでいくのか、予測が難しくなっています。新型コロナウイルス感染症が流行しているこの3年間に、多くの方がインフルエンザに感染しなかったことを考えると、これから先、大きな流行がやってくるのではないかと危惧しています」と語っています。
■子どもたちの間でも流行が広がる
また、気になる学校や幼稚園・保育所での流行ですが、第39週に休校、学年閉鎖、学級閉鎖となった施設は全国で2204。前週から600以上も増えています。学校などを中心に、子どもたちの間でもインフルエンザの流行が広がっています。
■インフルエンザの予防法は?
インフルエンザを予防する有効なポイントは、
・外出後の手洗い等
流水・石けんによる手洗いは、手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去します。
・適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザにかかりやすくなります。室内は50〜60%が適切な湿度です。
・十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるためには、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取が有効です。
・人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザはヒトからヒトに感染します。繁華街では多くの人が行き交うため、感染する機会も増えます。
・室内ではこまめに換気
季節を問わず、換気をすることで、インフルエンザウイルスの増殖を抑え、室内のウイルス量を減らすことができます。
・ワクチン接種
インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。13歳以上の方は原則1回接種、そして13歳未満の方は2回接種となっています。今年のインフルエンザワクチンの接種は始まっており、かかりつけ医などで接種が可能です。
■インフルエンザの予防=新型コロナウイルス感染症の予防
手洗い、換気など、インフルエンザの予防は、新型コロナウイルス感染症の予防にもなります。新型コロナウイルスは、現在、減少傾向にありますが、冬には再び流行のおそれがあります。インフルエンザとの同時流行も懸念される中、今一度予防について見直してみましょう。
引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和5年第39週(9/25-10/1)、インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏