【感染症ニュース】アデノ陽性で39.8℃の高熱3歳児の母「仕事復帰もできない」 子どもにも感染か… 流行状況に注意
2023年10月7日更新
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流行地域は注意
流行地域は注意
 国立感染症研究所の第38週(9/18-24)の速報データによると、咽頭結膜熱の全国の定点あたりの報告数は1.31。前週の1.45から約22%の減少となりました。しかし、全国的に見ると、福岡県は全国で最も高い4.44。次いで、沖縄県(3.61)・大阪府(3.55)と依然、高い水準となっています。警報レベルの「3」を超え、大きな流行となっていますので、今後の動向に注意してください。第38週は、減少していますが、まだまだ油断はできないようです。今回は、『感染症・予防接種ナビ』に寄せられた経験談をご紹介します。

【2023年】10月に注意してほしい感染症!専門医が予測「インフルエンザ流行加速 コロナは減少するか見極め必要 季節外れの流行のアデノウイルス感染症も…」 要注意は梅毒

経験談 3歳 神奈川県

 9月中旬 母親の私が、左目の痛みを感じ、翌々日には結膜が真っ赤に。白目も浮腫んでいて、涙目に、目やにも酷く急いで眼科へ。アデノとの診断。点眼2種類をもらいました。アデノの診断を受けた翌日、39.8度の熱。これがしぶとくて、1週間続きました。目の痛みも、熱による全身の関節痛、とにかく酷く、食事は取れませんが、水分は摂れました。処方された解熱剤を飲みながら、水を飲むと37度台まで下がり、大量の発汗、6時間後にはまた39度近くの発熱をずっと繰り返していました。1週間後、目の充血はほぼ良くなり、痛み止め飲まず37度くらいになるようになりましたが、喉の痛みがひどく、鏡でみると膿栓が大量に引っ付いている。耳鼻科へ行き、抗生剤をもらい内服。発熱落ち着く。抗生剤を3日間飲むが扁桃腺が腫れているのか?圧迫感が取れず、少ししたらまた耳鼻科か内科にかかる予定です。3歳の子どもは、親の診断を受けてから充血するも、目やにはそこまで酷くなく、点眼をもらい、嫌がるので、時々打つような感じで、熱は5日間ほど続き、最高40度まで上がるが解熱剤を飲むとすぐに元気になりました。まだうっすら目やにが出るので保育園には行かず、お休みしています。アデノウイルスは今までで1番キツかった。2度となりたく無い。目も喉も、発熱で全身もやられてこんな精神攻撃を受けて、しばらく仕事復帰もできない状態です。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「第38週(9/18-24)は、咽頭結膜熱の伸びが弱まったかのように見えますが、油断はできません。当週は、月曜・土曜が祝日で、医療機関が休診していたケースも考えられますので、感染症の流行が収まりつつあるとは、判断するのは早いでしょう。また、咽頭結膜熱にとどまらず、アデノウイルスが原因の感染症全般が流行している可能性が高いです。流行している地域によっては、注意が必要でしょう。今回の経験談ですが、咽頭結膜熱に代表されるアデノウイルス感染症については、家庭内感染は、感染力も強く、防ぎようがありません。今回、大人の方に、ここまでの症状があるのは、珍しいケースと言えます。お子さんも、発熱して辛かったと思いますが、いつかはかかる感染症です。一方で、咽頭結膜熱は、喉の痛みが強く出て、食事や水分を摂取できない場合もあります。特に、お子さんは、脱水症状にならないよう気を付けてあげてください」としています。

感染対策

 皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行う場合、消毒薬としては次亜塩素酸ナトリウム(市販されているものではミルトンやピューラックス、家庭用漂白剤としてはハイターやブリーチ等)を 500~1000ppm 程度に薄めて使用することが推奨されます。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの消毒液は、人体に用いてはいけません。アルコールは、効果はあるのですが、効力を発揮するのに 10分以上の時間を要するため、使用しづらいという難点があります。接触感染対策として最も重要なことは手指衛生です。手指衛生は、流水・石鹸による手洗いが最も効果的です。咽頭結膜熱は症状消失後も約 1 か月間に渡って尿・便中にウイルスが排出されるといわれています。更に、感染しても症状のない無症候病原体保有者や、明確に主な3つの症状があらわれないことも少なからずあると考えられています。これらのことから、医療機関を受診して咽頭結膜熱と診断された者だけを隔離等の感染対策の対象としても、効果的な対策に繋がることは期待できません。これがこの感染症の感染対策を困難にしていると思われます。特に感染経験の乏しい小児の集団生活施設である保育園、幼稚園、小学校等では流行時期になると集団発生がみられることも珍しくはありません。

アデノウイルスが起こす感染症

 咽頭結膜熱以外にも、アデノウイルスが原因の感染症は次のものがあります。

・呼吸器感染症
 主に3、7型によるもので、7型は重症の肺炎を引き起こすことがあります。乳幼児がかかることが多く、髄膜炎、脳炎、心筋炎などを併発することもあります。発熱や咳が長引き、呼吸障害など重症になることもあります。

・流行性角結膜炎
 8、19、37型および53、54、56型などによるもので、目が充血し、目やにが出ます。結膜炎経過後に点状表層角膜炎を作ることが多く、幼小児では偽膜性結膜炎になることもあります。

・出血性膀胱炎
 主に11型によるもので、排尿時痛があり、真っ赤な血尿が出ます。排尿時の痛みと肉眼的血尿が特徴で、これらの膀胱炎症状は2~3日で良くなります。

・胃腸炎
 主に31、40、41型によるもので、乳幼児期に多く、腹痛、嘔吐、下痢などを伴います。

アデノウイルス感染症の治療・予防

 咽頭結膜熱などアデノウイルスが原因の感染症を総称して「アデノウイルス感染症」と呼ぶこともあります。アデノウイルス感染症には抗ウイルス薬はありません。ほとんどは自然に治りますが、高熱が比較的長く(5日前後)続くことがあり、吐き気や頭痛が強い、咳が激しい時は早めに医療機関に相談してください。予防について、ワクチンはなく、接触感染・飛沫感染対策として流水や石けんによる手洗いなど手指衛生が重要です。夏場はプールなどで感染することも多く、プールから上がった時はシャワーを浴び、うがいをする。またタオルなどは共用せず、別々に使うことが感染防止につながります。

引用
国立感染症研究所:「IDWR速報データ2023年第38週」「咽頭結膜熱とは」「アデノウイルスの種類と病気」
厚生労働省:咽頭結膜熱について
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏

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