厚生労働省が発表した第37週(9/11-17)の「インフルエンザの発生状況について」によると、全国の定点あたりの報告数は7.03。前週の4.48から約1.57倍に増えました。特に、首都圏や九州地方などで、増加傾向となっています。東京都の第37週(9/11-17)のインフルエンザの定点当たり報告数は11.37で、前週の約2倍となり「流行注意報基準」である定点当たり10.0人を超えました。急速な流行拡大に対し、東京都は、2023年9月21日に「流行注意報」を発令。今後、流行が更に拡大するおそれもあるとして、じゅうぶん注意するよう呼び掛けています。インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。本来、インフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え、3月頃まで続きます。しかし、今の時期に流行することは、異例です。
【2023年】9月に注意してほしい感染症! 専門医「コロナ減少傾向に入るか見極め必要」 季節外れの流行の感染症も… 要注意は梅毒・腸管出血性大腸菌感染症
感染症の専門医は…(インフル)
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「東京都のインフルエンザ流行が拡大しています。流行地域は、注意が必要です。一方で、大阪府は、増加したものの伸びは鈍りました。本当に伸びが鈍化したのか見極めが必要です。一般に、暑さが和らぎ始め涼しさを感じる頃まで感染症の流行は収まり、冬に向け、再び増加を始めます。今の時期は、これまでインフルエンザの流行がみられなかった時期であることや、地域差もあるため、今後の増減の予測が難しいところです。しかし、全国的には、定点で7を超える報告数があることから、感染拡大の可能性があるものと考えて、じゅうぶん注意してください」としています。
インフルエンザの予防
インフルエンザは、まずかからないことが重要です。予防には、外出後の手洗い、適度な湿度の保持(50〜60%)、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、人混みや繁華街への外出を控える、そしてインフルエンザワクチン接種などが有効です。ワクチンは毎年10月頃から接種が始まります。ワクチンの効果が現れるのは接種から2週間程度かかるとされているので、流行前に接種を済ませることが重要です。インフルエンザワクチンは13歳以上の方は1回接種、13歳未満の方は2回接種と定められています。接種すればインフルエンザに絶対かからないというものではありませんが、発病の予防や発病後の重症化に関して一定の効果があるとされています。
インフルエンザをうつさない
そして感染した場合は、他の人にうつさないようにすることが重要です。一般的に、インフルエンザは発症前日から発症後3〜7日間は鼻やノドからウイルスを排出するといわれています。その期間は外出を控える必要があります。排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。排出期間の長さには個人差がありますが、咳やくしゃみなどの症状が続いている場合には、不織布製マスクを着用するなど、周りの方へうつさない配慮をしましょう。インフルエンザ注意報を発令した東京都は、こまめな手洗い、消毒、咳エチケット等の基本的な感染防止対策を一人ひとりが心がけるよう呼び掛けています。
引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和5年第37週
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏