厚生労働省が9月15日に発表した2023年第36週(9/4-10)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は20.19。前週の20.50から微減かほぼ横ばいとなっています。患者報告は、東北地方の感染報告は、減少しましたが、宮城県(32.47)で定点辺り30を超えているなど、依然、高い水準にあります。
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インフルエンザの勢いが…
また、厚生労働省が同日に発表した2023年第36週(9/4-10)の「インフルエンザの発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は4.48。前週の2.56から急激に増加しています。広島県など各地では、注意報が出される事態となっています。
感染症の専門医は…
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「大阪府では、新型コロナは、微増していますが横ばいに近く、増加は止まって来たようです。もう少しの期間でピークアウトしていくようにも見えます。私の勤務先の入院患者は、先週と変わらず、横ばい。重症で肺炎を起こす方は少なく、ワクチンを接種していない方が多いです。現在、新型コロナの勢いよりも、インフルエンザの勢いが強く、新型コロナウイルス感染症と同時に流行しそうな気配です。新型コロナ・インフルエンザも、感染経路は似ており、換気が重要と考えています。この夏は、猛暑で、換気がなかなかできない環境でした。暑さが、少し和らいで来たので、今後は、意識的に換気を行って頂ければ」としています。
新学期と同時にインフルエンザ流行
また、安井医師は、インフルエンザについて、このように指摘しています。「第35週の増加については、新学期を早めた学校があったことも、原因の一つだと考えています。第36週は、全ての学校で本格的に新学期が始まったことで、大きく増加したのだと考えられます。インフルエンザの流行は、10月には、例年の12月並みのかなり高い数値になる可能性もあります。インフルエンザについては、学校再開・感受性者の蓄積など、増える要因はあっても、減る要因はありません。周囲の流行状況を把握するなど、じゅうぶんな注意が必要です」としています。
インフルエンザのワクチンの接種は10月から
インフルエンザの感染や発症、重症化を防ぐ効果が期待できる、インフルエンザワクチン。今年も10月から接種が開始予定です。今年は約3121万本供給される見込みで、9月末の時点でその半数を上回る約1660万本が出荷される予定です。これは65歳以上の高齢者の約9割が1回ずつ接種できる量に相当します。
65歳以上は定期接種
インフルエンザワクチンは、予防接種法により次の方たちは定期接種の対象になっています。
・65歳以上の方
・60〜64歳で、心臓、じん臓もしくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当)
・60〜64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当)
これらに該当される方は、自治体によって一部あるいは全額が公費で助成されます。かかりつけ医やお住いの市町村などに相談の上、接種を進めてください。
引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和5年第36週、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」令和5年第36週、「2023/24 シーズンのインフルエンザワクチンの供給等について」(2023年8月28日)、インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 安井良則氏