一般に、細菌性食中毒の発生は、気温と湿度が高くなる夏場に多いとされます。
一方で、カンピロバクター感染症は、年間を通して、発生が報告されており、注意が必要な感染症です。
主な感染経路は、食べ物からと考えられており、じゅうぶんな加熱のなされていない鶏肉などを食べることにより感染します。
健康志向の高まりから、低カロリー高たんぱくの鶏肉を召し上がる方も多くなっていますが、調理には注意が必要です。
厚生労働省によると、カンピロバクター感染症による症状は、「下痢」の発生頻度が高いとされています。
今回は、カンピロバクター感染症と診断され、「下痢」が続き、体重が3キロ減少した方の経験談をご紹介します。
24歳
お店でユッケがあるので気になって注文。
鳥のユッケで大丈夫かなと思いながら食す。
その3~4日後辺りから下痢がでる、その時は前の日にお酒飲んだ二日酔い?(二日酔い自体が初めてでこんなに具合悪くなるのかとは思いました)と思い水分を多めに摂取する。
次の日体調悪化し熱を測ると38.2度これはまずいと思いすぐさま病院へ。
コロナの検査を受け陰性確認後胃腸炎と診断。
この際に鶏肉のことを話し検査もしてもらう。
その後下痢が止まらないまま病院から連絡来てカンピロバクターと診断。
現在薬を飲みながら治療中体重は3キロ減。
(24歳・神奈川県)
※医師の診断を受けています
感染症の専門医は…
「一般的に夏場は食中毒に、最も警戒が必要な時期です。厚生労働省によると、年間で最も報告されている細菌性食中毒は、カンピロバクター感染症です。カンピロバクター感染症は、加熱が不十分な鶏肉を摂取することで感染することが多いです。発症し、下痢の症状が続くと、身体から水分が出ていってしまうため、水分補給は大切です。症状が続いている場合、小さなお子さんや高齢者の方は、脱水症状を引き起こさないよう、注意してください。また、カンピロバクター感染症は、感染後、1-3週間後に、ギラン・バレー症候群を発症する事例もあります。これは、末梢神経の障害で、力が入らなかったり、しびれなどの症状を引き起こします。急に立ち上がれなくなったケースもあります。私は、生の鶏肉は、絶対に食べません」としています。
予防
カンピロバクターは、低温環境下で、より長時間生存できるため、冷蔵庫を過信してはいけません。加熱には弱いので、食品の正しい加熱調理に努めるとともに、調理などの過程で他の生鮮食品や調理器具の汚染に注意しましょう。鶏肉などを取り扱う場合は調理する人の手洗い、まな板などの調理器具を清潔に保ちましょう。特に乳幼児には鶏刺し、砂ずり刺し、牛レバー刺しなどの生食はさせないようにすることが重要です。
引用:国立感染症研究所「カンピロバクター感染症とは」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏