東京都は、2023年4月28日に、都内の感染状況などを分析するモニタリング会議を開きました。
東京都での感染報告は、5週連続で増加しています。
気がかりなのが、ゲノム解析の結果、これまで主流だった「BA.5」は3.6%と鳴りを潜め、代わってBA.2系統の「XBB.1.5」が44.3%を占め、流行株の置き換わりが報告されたことです。
BA.2系統での国内の流行は、これまでになく、臨床データもじゅうぶんではありません。
2023年5月8日から、新型コロナウイルス感染症は「5類」へ移行されますが、しばらく、感染拡大が続く可能性が高いことも指摘されています。
それでは、「感染症・予防接種ナビ」に、今年2月に寄せられた経験談をご紹介します。
経験談(30歳・京都府)
ワクチン接種なし。
夫が発症し、家庭内隔離を始めた翌日から喉に違和感。
その翌日晩に39度の発熱、嘔吐。
翌日には37度程に下がったものの喉がとにかく痛い&頭痛&倦怠感。
呼吸も苦しい。深呼吸しても酸素が入らない感覚。
発症から数日で喉は治ったが、動けない程ではない後頭部の頭痛と息苦しさはかなり長引き、ずっとこのままだったらどうしようと言う不安感に駆られた。本当に少しずつ回復していき完治まで約1ヶ月掛かった。
抗原検査は発熱後2回したがいずれも陰性、その後PCR検査でやっと陽性になった。
実は夫の発症前にも一晩だけ38.5の熱、嘔吐、下痢があったが関連していたかは不明。
感染症の専門医は…
「気がかりなのは、今後、感染者数がどのように推移するかです。4-5月はこれまでも増えていた時期です。また、これまで、国内で流行をみせていなかったBA2系統の「XBB.1.5」への置き換わりが進んでいます。しかし、重症化するかどうかなどの臨床データがじゅうぶんではない状況です。引き続き、注意が必要といえるでしょう。現在、入院される方は少なくなったものの、症状が悪化され搬送されてくるのは、ワクチン未接種の方が多い印象です。しかし、ワクチンを接種した後も、基本的な感染対策を続けるなど決して油断しないでください。体調不良の場合や医療機関・高齢者施設を訪問の際はマスクの着用は必須です。今回、寄せられた経験談については、可能であればワクチンを接種してほしいケースです。まだ30代なので、この程度で済んだと思われますが、年齢が高くなれば、重くなっている可能性も否定できません。呼吸が苦しかったとのことですが、肺炎を発症していたかは分かりません。しかし、オミクロン株であっても、ワクチンを接種していない場合、肺炎を発症し、悪化するケースも珍しくありません」としています。
まとめ
帰省や旅行など大型連休には、人と接触する機会も多いかと思います。
身の周りは、健康な方ばかりではありません。
ワクチンを接種したくてもできない方や免疫がじゅうぶんでない方がいらっしゃることにも配慮しながら、大型連休を過ごしてください。
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏