帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。水痘(水ぼうそう)に感染したことがある人は、治癒した後も、生涯にわたって体内でウイルスが潜伏感染しています。帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)に感染したことがある人が、加齢やストレスや疲労等による免疫力の低下に伴い、潜伏していたウイルスが再活発化することで発症します。
「感染症・予防接種ナビ」にも帯状疱疹と診断された方からの経験談が寄せられています。
【経験談】38歳・東京
休日の夜、胸の横の背中に近い側が赤くなって痒みがあるのに気付いたが、すごく汗をかいた日だったのであせものひどいものかと思い、家にあった虫刺されやあせもに塗る塗り薬を塗布。
数日しても全然治らず、蕁麻疹のような発疹が拳大くらいの範囲に広がりピリピリ感があったり、赤くなっている周辺がひきつる感じや発疹のある側の肩全体が強めの肩こりのようになり、なにかおかしいと思って仕事が落ち着いたので時間休を取って皮膚科を受診。
汗疹のひどいやつと思っていたのにまさかの帯状疱疹と診断されて、抗ウイルス薬とロキソプロフェンと胃を保護する薬と塗り薬を処方されました。
お医者様には重症になると後遺症も残るから軽症のうちに早く来たのでグッジョブでしたと言われましたが、仕事落ち着いてなかったら受診しなかったし、こんなの気付けないよ怖い...と思いました。
この後、抗ウイルス薬が効いて来るには2~3日かかるのでその間は悪化して広がる可能性があるけど飲み続けて下さいねと指示されましたが、色々画像調べたりして、これからこうなるのかと怖いです。とりあえず水ぶくれにはなって、そのあとカサブタになって治るとありました。早く薬が効いてきて欲しいです。
感染症の専門医は…
感染症の専門医で大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「帯状疱疹は、50代以降での発症が多いとされています。しかし、10代の発症も意外に多く、20代を底に徐々に増え始めます。今回の方は、38歳とのことですが、あらゆる年代で発症する可能性がありますので、注意が必要です。帯状疱疹は、発疹が出た後、部位にピリピリ・チクチクとした痛みがでることが、一般的とされていますが、初めて罹患した場合には、帯状疱疹と分からず、医療機関での受診が遅れてしまうケースがあります。気がかりなのは、受診が遅れた結果、発症から3ヶ月経過しても痛みが続くような帯状疱疹後神経痛の症状が残ることです。発疹と痛み、水疱など、帯状疱疹を疑う症状が出たら、すぐに皮膚科を受診しましょう」としています。
どの世代でも注意
帯状疱疹の症例調査「宮崎スタディ」によると、『発年齢別・性別の患者数については、男女とも10代に小さなピークがあり、20~30代でやや下がるが、50代で急上昇し、60代で最も大きなピークがみられた』との結果が出ています。
どの世代であっても、発症の可能性はあるので、年齢に関係なく注意が必要です。
日本では、帯状疱疹を予防するワクチンが2種類あります。
2016年3月に阪大微研が製造する『乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」』について、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」に対する「効果・効能」が追加承認されました。接種回数は1回です。
2018年3月には、帯状疱疹の予防のみを目的としたワクチン(シングリックスⓇ筋注用)が薬事承認されました。
接種回数は2回で、接種間隔は1回目から2か月以上あけて、6か月以内に2回目を接種します。
帯状疱疹予防としてのワクチンは、任意接種のワクチンとなりますので、接種費用は基本的に自費となります。
しかし、自治体によっては、50歳以上の方に一部助成しているところもありますので、お住まいの自治体へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
参照:帯状疱疹症例調査「宮崎スタディ」
引用:厚生労働省「帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日 国立感染症研究所」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏