4月5日、第120回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの会議が開催されました。これは、新型コロナウイルス感染症対策を円滑に推進するにあたって必要となる、医療・公衆衛生分野の専門的・技術的な事項について、厚生労働省に対し必要な助言等を行うものです。公開された資料をもとに、最新の新型コロナウイルス感染症の情報をお伝えします。
感染状況について
・新規感染者数については全国的に下げ止まりとなっており、大都市部をはじめ、増加の地域も多く見られます。
・地域別の新規感染者数については、北海道や北陸・甲信越などでは人口あたりで全国を上回っている一方、近畿や九州などでは人口あたりで全国を下回っています。また、高齢者施設や医療機関等の集団感染は減少傾向が継続しています。
・全国の年代別の新規感染者数は、全年代平均で減少傾向が継続しているものの、20代を始め増加している年代も見られます。
・全国では、重傷者数および死亡者数は減少傾向が継続していますが、この冬の感染拡大では、昨年夏の感染拡大時よりも、新規感染者のうち80代以上の高齢者の占める割合の増加傾向が見られます。
今後の見通しについて
・現在の大都市部における感染者数の増加傾向、特に20代の増加から、今後の感染者数が増加に向かう可能性もあり、注視が必要です。また、短期的な予測では、東京など一部地域では増加傾向になることが見込まれます。
・今後、年度替わりの感染リスクが高まる場面や、免疫の減衰、より免疫逃避が起こる可能性がある株の割合の増加等が感染状況に与える影響についても注意が必要です。
流行株について
・国内ではBA.5系統が主流になっていましたが、3月頃からその割合は減少傾向にあります。欧米から多く報告されているXBB1.5系統を含むXBB系統やBA2.75系統の亜系統であるBN1.3系統の割合は増加傾向にあります。
・一方、国内で数と割合が増加していたBQ.1系統は1月上旬をピークとして減少傾向です。
基本的な感染対策の再点検と徹底
地域での感染症の流行状況に関心を持ち、自らを感染症から防ぎ、身近な人を守り、ひいては社会を感染症から守り、特に高齢者に感染が及ばないように配慮するといった観点で、次のような基本的な対策を一人ひとりが身に着けておくことが必要です。
・体調不安や症状がある場合、無理せず自宅で療養あるいは受診
・日常の生活習慣としての手洗い等の手指衛生
・その場に応じたマスクの着用や咳エチケットの実施
・適度な運動。食事などの生活習慣の理解、実行
・換気の励行、密集・密接・密閉(三密)の回避
第6回抗体保有調査(住民調査)速報結果
・令和5年2月3日〜3月4日にかけて、宮城・東京・大阪・愛知・福岡において第5回抗体保有調査に参加した方のうち、第6回当該調査への参加に同意した一般住民5627名を対象に、抗N抗体、抗S抗体の2種類を実施しました。ワクチンを接種した場合は抗S抗体のみが陽性、新型コロナウイルスに感染した場合は、抗N抗体と抗S抗体の両方が陽性になります。
・各自治体で抗S抗体が陽性であった割合は、
宮城98.6%、東京98.8%、大阪98.5%、愛知98.5%、福岡98.1%
・各自治体で抗N抗体が陽性であった割合は、
宮城22.6%、東京32.2%、大阪35.8%、愛知34.9%、福岡31.3%
参考として、第5回(令和4年11月26日〜12月27日)の抗N抗体が陽性であった割合は、宮城17.6%、東京28.2%、大阪28.8%、愛知26.5%、福岡27.1%でした。
(※この調査は、令和4年11月及び令和5年2月に実施された献血検体を用いた調査とは調査手法が異なります。)
資料では「この調査で測定された抗S抗体は、オミクロン株に対する中和抗体ではなく、抗S抗体の存在が、感染・発症の予防効果を示すものではない」「抗N抗体の陽性が無症状者を含んだすべての既感染者の正確な割合を示しているとは限らない」という点に留意が必要としています。
引用
厚生労働省:第120回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(2023年4月5日)