【感染症ニュース】もうすぐ小学生!でも忘れてない? 年長さんはMR(麻しん風しん混合)ワクチンの定期予防接種
2023年3月16日更新
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2回の接種でしっかり免疫をつけましょう!
2回の接種でしっかり免疫をつけましょう!
 4月から小学生になるお子さんが対象の定期予防接種がMRワクチンです。麻しんと風しんの予防するワクチンで、1回目は「1歳」の時に、2回目は「5歳以上7歳未満で小学校入学前1年間」に接種します。この期間であれば無料で受けられますので、かかりつけの小児科医などで受けるようにしましょう。

MRワクチンが予防する感染症 ①麻しん

 麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症です。ヒトからヒトへ感染する感染症で、空気感染、飛沫感染、接触感染など様々な感染経路があります。感染力は極めて強く、麻しんの免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12〜14人の人が感染するとされています。

 症状は、感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といったかぜのような症状が現れます。2〜3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発しんが現れます。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。

MRワクチンが予防する感染症 ②風しん

 風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる感染症です。ヒトからヒトへ感染する感染症で、主に飛沫感染で広がります。麻しんほど感染力は強くはありませんが、風しんの免疫がない集団において、1人の風しん患者から5〜7人にうつす強い感染力があります。

 症状は感染後約2〜3週間後に発熱や発しん、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。風疹の症状は子どもでは軽いのですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が2000~5000人に1人くらいの割合で発生することがあります。また、大人がかかると、発熱や発しんの期間が子どもに比べて長く、関節痛がひどいことが多いとされています。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「私は毎週、子どもたちにワクチン接種を行っていますが、MRワクチンの2回目の接種を希望されるお子さんが、先週に続き、今週もいました。本来は年長さんになってすぐに受けていただくといいのですが、小学校に上がる前の3月いっぱいは無料で受けられますので、まだ接種していない方は、かかりつけ医などで接種を受けてください」と語っています。

MRワクチンの予防効果

 麻しんは手洗いやマスクのみでは予防できず、予防接種が最も有効な予防法です。1回の接種で95%程度の方が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また2回の接種を受けることにより、1回の接種では免疫がつかなかった多くの方に免疫をつけることができます。

 風しんにおいても予防接種が最も有効な予防方法といえます。1回の接種で95%以上の方が風しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種で、1回の接種では免疫がつかなかった方の多くに免疫をつけることができます。

 2回目の接種が小学校に上がる前に行われるのは、1回の接種で免疫がついたにも関わらず、その後の時間の経過とともにその免疫が減衰した子どもたちに再び刺激を与え、免疫を強固なものにする、そして1回目に接種しそびれた子たちにもう一度接種の機会を設けるという理由があります。

MRワクチンの副反応

 MRワクチンの接種後には副反応が現れる場合があります。症状としては発熱、発しん、鼻汁、咳、注射部位の紅斑・腫脹などが見られます。また、重大な副反応としてアナフィラキシー、脳炎・脳症、けいれん、血小板減少性紫斑病などがごくまれに報告されています。

妊娠している方に麻しん、風しんをうつさない

 麻しん、風しんの予防は本人が病気で辛い思いをしないようにするとともに、妊娠している女性のためでもあります。妊娠中に麻しんにかかると流産や早産を起こす可能性があります。また、妊娠初期(20週以前)に風しんにかかると、胎児に感染し、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群を持ってうまれてくる可能性があります。

 妊娠している女性は、ワクチンの接種を受けることができません。そのため、周囲の人たちの予防がとても重要です。風しんについては、昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性を対象とした抗体検査と予防接種が、2024年度まで原則無料で受けることができます。お子さんのワクチン接種とともに、お父さんの抗体検査もぜひ受けてください。


引用
国立感染症研究所:麻しんQ&A
厚生労働省HP:麻しんについて、風しんについて

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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