厚生労働省の2023年2月3日発表の資料によると、2023年第4週(1/23-29)のインフルエンザ定点辺りの報告数は、全国で10.36人。前週の9.59人から、およそ1.08倍となりました。
都道府県別にみると、警報が続く沖縄で41.23人。大阪24.34人・福岡は21.70人となりました。
九州・近畿を中心とした、西日本地域では依然、高いレベルで、北陸でも増加傾向をみせています。
学級閉鎖などがされるケースも、引き続き増えています。
お子さんの間での流行もあるので、注意が必要です。
感染症の専門医は…
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「3シーズンぶりの流行で、患者報告数も、ある程度増えています。
しかし、この季節の流行の規模としては、そこまで大きくならず、全国的には注意報レベルで、警報レベルまでは行かないと予測しています。
地域的な差異もありますが、インフルエンザは、これまでも、第4-5週辺りがピークを迎えることが多いです。
一方、お子さんの間では流行しており、学校などから家庭に持ち込まれるケースもあります。
引き続き、患者報告数の動向に注視は必要です」としています。
インフルエンザの予防
インフルエンザは、まずかからないことが重要です。予防には、外出後の手洗い、適度な湿度の保持(湿度50〜60%)、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、人混みや繁華街への外出を控える、そしてインフルエンザワクチン接種などが有効です。ただしワクチンの効果が出るのは接種から2週間程度かかるとされています。
インフルエンザにかかったら
インフルエンザにかかってしまったらどうすればいいでしょうか。感染すると38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などが比較的急速に現れ、普通の風邪のように喉の痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。これらの症状が見られたら…
・安静にして、休養をとる。特に睡眠を十分に撮ることが大切。
・水分を十分に補給する。お茶でもスープでも、飲みたいものを摂取する。
・高熱が続く、呼吸が苦しい、意識がおかしいなど、具合が悪ければ早めに医療機関を受診
インフルエンザをうつさないことも重要
感染の可能性があるのに、無理をして学校や職場などに行くことは感染拡大を招くので避けましょう。インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみの際に口からでる小さな水滴による飛沫感染です。熱などの症状がなくてもインフルエンザに感染していることがあるので、周囲の人にうつさないためには、咳エチケットが重要です。
咳エチケットとは、咳やくしゃみが出る時に、次のように飛沫を防ぐことです。
・マスクを着用する。鼻から顎までを覆い、隙間がないようにつける。
・ティッシュ、ハンカチなどで口や鼻を覆う。
口と鼻を覆ったティッシュは、すぐにゴミ箱に捨てる。
・上着の内側や袖(そで)で覆う。まわりにしぶきが飛ばないようにすることが重要です。
インフルエンザにかかった時の異常行動
インフルエンザで医療機関を受診した時に、抗インフルエンザウイルス薬を処方されることがありますが、ごくまれですが、この薬の服用後に急に走り出す、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動が起きたことが報告されています。これまでの調査結果などからは、インフルエンザにかかった際は、抗インフルエンザウイルス薬を服用してもしなくても、同様の異常行動が現れることが報告されています。特に就学以降の小児・未成年の男性で、転落事故などに至る恐れのある重度の異常行動が多いことが知られています。保護者の方は、お子さんがインフルエンザで自宅療養している時などは、十分に注意をお願いします。
引用
厚生労働省:インフルエンザに関する報道発表資料 令和5年第3週、
令和4年度インフルエンザQ&A、
大阪府感染症情報センター:大阪府感染症発生動向調査週報(速報)2023年第3週
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏