厚生労働省発表の「インフルエンザの発生状況について第50週(12/12-18)」によると、インフルエンザの定点当たり報告数は0.53。前々週から0.13→0.25→0.53と増加を続け、2週続けて倍々に数字を伸ばしました。流行シーズン入りの目安となる報告数1を超えたのは、青森・岩手・東京・神奈川・富山・熊本の6都県。全国的に流行の兆しがあります。
岩手県盛岡市では注意報レベルに
岩手県では第50週の定点あたりの報告数が2.84となり、中でも盛岡市では11.82で流行は注意報レベルとなっています。また、東京・大阪をはじめ15の都府県で学級閉鎖・学年閉鎖が発生しており、子どもたちの間でもインフルエンザの流行が広がっています。
感染症の専門医は・・・
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「私が勤務している大阪府でも、インフルエンザの感染者は増加している印象です。例年であれば、流行が始まると急激に拡大していたのですが、今年は今のところはそれほどではありません。しかし、大都市圏を中心にこの先増加していけば、年末年始の人の移動と重なり、全国的に流行が拡大していく可能性はあると思います」と語っています。
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行?発熱したらどうすればいいの?
現在、新型コロナウイルスの新規陽性者も増加しており、インフルエンザとの同時流行の可能性も指摘されています。ではもし発熱をしたらどうすればいいのでしょうか。
厚生労働省では、新型コロナウイルスの「重症化リスクの高い方(高齢者・基礎疾患を有する方・妊婦など)と小学生以下の子どもと保護者の方」と「重症化リスクの低い方(上記以外の方)」に向けて、それぞれの対処方法を呼びかけています。
重症化リスクの高い方が「ノドの痛み・発熱など」の症状が出たら
現段階ではノドの痛み・発熱などの症状が出ても、新型コロナに感染したものなのか、インフルエンザに感染したものなのか、また他の原因なのかは検査をしてみないとわかりません。重症化リスクの高い方は、ノドの痛みや発熱などの症状が出たら速やかに発熱外来を受診してください。また、小学生以下の子どもはかかりつけ医をはじめ、地域の小児科医などに相談してください。
重症化リスクの低い方は?
重症化リスクの低い方がノドの痛みや発熱などの症状が出たら、まずご自身で新型コロナ抗原定性検査キットで検査をしてください。この場合、研究用ではなく、国が承認した医療用・一般用のキットを使用することが重要です。そして陽性だった場合は、地域の健康フォローアップセンターに登録して自宅療養をお願いします。また、陰性だった場合はインフルエンザである可能性もあります。この場合も体調不良が続く時は自宅での療養をお願いします。症状が重いなど医療機関の受診を希望する際は、受診・相談センターなどお住まいの地域の相談窓口などに相談の上、かかりつけ医・発熱外来の受診や電話診療・オンライン診療などを検討してください。
年末年始は医療機関を受診しにくくなります。そのためにも予防を。
年末年始は医療機関が休みになるなど、今まで以上に受診しにくくなります。重症化リスクの低い方は、新型コロナウイルス・インフルエンザのどちらに感染しても、最初の選択肢は自宅療養となります。そうならないためにも、外出後の手洗いや、適度な湿度の保持、人混みや繁華街への外出を控える、ワクチン接種などでの予防が重要です。そしてもし発熱などの症状が出た場合に備えて、新型コロナ抗原定性検査キットや解熱鎮痛薬などの準備をしておくことが重要です。
引用
厚生労働省: インフルエンザの発生状況について第50週(令和4年12月23日)、
インフルエンザQ&A、新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応
岩手県感染症情報センター:感染症発生動向調査第50週速報
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏