厚生労働省が発表した11月15日の新型コロナウイルスの新規陽性者数は、全国で102,829人。都道府県別では、東京都が11,196人、北海道が10,906人となっています。北海道では1日の新規感染者数が初めて1万人を超え、過去最多となりました。
第8波の入り口とも言える現状について、医師に取材しました。
感染症の専門医は・・・
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「現在、患者数が急増しているのは、北海道、東北、北陸、山陰など、冬に向け気温の低下が早い地域です。また、はっきりとした因果関係は不明ですが、これまでの累積罹患率が全国平均値を下回っている地域で新規感染者が増えていることが地域別の傾向から見て取れます。第7波の患者発生数の減少は10月中旬以降増加に転じており、すでに第8波に入っていると考えていいと思います」としてます。
今、病院では・・・
現在、緊急入院する方が新型コロナに感染しているケースが増えている印象があると、安井医師は言います。
「脳梗塞や心筋梗塞で救急に運ばれてくる患者さんを検査すると、新型コロナに感染しているという例が増えています。70代や80代が中心で、ワクチンを接種していない方が多く見られます。」
発熱など体調不良が起きた時はどうすれば?
この冬は、新型コロナとともに、インフルエンザの大規模な流行の可能性があると言われています。そうした事態に備え、厚生労働省では「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」の中で、「外来受診・療養の流れのイメージ」を公表しています。そこでは、発熱等体調不良があった場合、重症化リスクの高い「子ども(小学生以下)・妊婦・基礎疾患がある方・高齢者」は、速やかに医療機関を受診。それ以外の重症化リスクが低い方は、新型コロナ検査キットで自己検査を行い、新型コロナが陰性だった場合は電話やオンライン診療、かかりつけ医等で受診し、インフルエンザの診断を受ける。陽性だった場合は、健康フォローアップセンターに陽性者登録を行った上で自宅療養とされています。
新型コロナの検査キットは「医薬品」を
新型コロナ検査キットについて、厚生労働省は「国が承認した医薬品を使いましょう!」と呼びかけています。国が承認している検査キットは「体外診断用医薬品(医療用医薬品)」または「第一類医薬品(一般用医薬品)」と表示されていて、取り扱い薬局・薬店(インターネット含む)で薬剤師に相談して購入するとされています。ほかにも「研究用」と表示して販売されているものもありますが、こちらは国が承認しておらず、健康フォローアップセンターでの登録等には使えないことになっています。
体調不良に備えて
安井医師は「発熱等体調不良はいつ起こるか分かりません。万が一の感染に備え、国が承認した検査キットを家庭などで予め用意しておくことを勧めます。」とした上で、新型コロナが陽性で、インフルエンザにもかかっているという同時感染のケースが、国の『外来受診・療養の流れのイメージ』の中に想定されていないのは気がかりとの懸念を示しています。
同時流行に備えワクチン接種を
安井医師は、「新型コロナワクチンには発症や感染、重症化を予防する効果があります。
インフルエンザとの同時流行に備え、両方のワクチンの早めの接種を検討してほしい」としています。
引用
厚生労働省:データからわかる新型コロナウイルス感染症情報2022年11月15日版、第2回新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース(令和4年10月18日)、新型コロナウイルス感染症の一般抗原検査キット(OTC)の承認情報(令和4年11月11日更新)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏