【感染症ニュース】冬はノロウイルスに注意!強力なヒトヒト感染力 意識したい予防法は?
2022年10月21日更新
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ノロウイルスに注意
ノロウイルスに注意
 さまざまな細菌やウイルスなどの病原体によって起こる感染症「感染性胃腸炎」。

 一年中感染のおそれがありますが、特に冬は、例年大きな流行がみられます。

 その原因の一つが、ノロウイルスです。

ノロウイルスによる胃腸炎とは?

 ノロウイルスは、1968年にアメリカのある小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者から、初めて発見されました。

 ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖します。感染から発症までの潜伏期間は24~48時間で、主な症状としては吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛などで、発熱は軽度です。

 通常これらの症状が1~2日続いたあと治癒し後遺症もありませんが、子供やお年寄りなどでは重症化したり、吐いたものを誤って気道に詰まらせて亡くなるというおそれもあります。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、この冬の感染症胃腸炎の流行を警戒しています。

 「ノロウイルスはヒトの腸管で増殖され、その感染者のおう吐物やふん便とともに大量に排出され、他の人にうつります。ですので、学校・保育所や家庭内など、人と人の距離が近い場所で流行が発生しやすいという特徴があります。また、新型コロナの影響で手指をアルコール製剤で消毒することが多くなりましたが、製品によってはノロウイルスに効きにくいものもあります。医療機関でノロウイルスによる感染症と診断された場合は、二次感染を防ぐためにも、ノロウイルスにあわせた対応をする必要があります」

ノロウイルスはどうやって感染するの?

 ノロウイルスの感染経路のほとんどが、ウイルスが口から入り込む「経口感染」による感染で、次のような例が考えられます。

・患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便やおう吐物から、ヒトの手などを介して感染。
・家庭や共同生活施設など、ヒト同士の接触する機会が多いところで、会話の際に出る飛沫で直接感染。
・飲食店の調理人や、家庭で調理をした人が感染していて、その人を介して汚染された食品を食べて感染。
・汚染されていた二枚貝を、生や十分に加熱をしないで食べて感染。
・ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合・・・など。

ノロウイルスによる感染症の治療法は?

 現在、ノロウイルスに効果がある抗ウイルス剤はなく、対症療法が行われます。

 特に体力の弱い乳幼児・高齢者は、脱水症状を起こしたり体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を十分に行うことが重要です。

 安井医師は、「下痢やおう吐など心配な症状が出ると思いますが、それらはウイルスを体内から外に出そうという反応なので、下痢止め薬などを使用するとかえって病気の回復を遅らせることがあります。症状があるときは医療機関を受診して、医師の指示にしたがっていただければと思います」と語っています。

ノロウイルスの予防法

 では、ノロウイルスの感染はどのように予防すればいいのでしょうか。

 おう吐物やふん便とともに排出されたノロウイルスは時間が経っても感染力が衰えず、12日以上前に汚染されたカーペットを通じて感染が起きたという事例もあるので、適切に処理を行う事が重要です。

 処理をする際には

・使い捨てのガウンやエプロン、マスクと手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないようにペーパータオル等で静かに拭き取る
・拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)や、亜塩素酸水(遊離塩素濃度25ppm(含量 亜塩素酸として0.05%≒500 ppm以上))で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをする。次亜塩素酸ナトリウムは市販の家庭用塩素系漂白剤などに含まれています。
・おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄する。

 また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中を漂い、これが口に入って感染することがあるので、おう吐物やふん便は乾燥しないうちに床などに残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出ていくよう空気の流れに注意しながら十分に換気を行うことが重要です。

発症後、症状がなくなってもウイルスの排泄が長く続く!

 ノロウイルスは、発症後下痢などの症状がなくなっても、通常では1週間程度、長いときには1か月程度ウイルスの排泄が続くことがあります。

 特に食品を直接取り扱う仕事の場合、症状が改善した後も、しばらくは業務に関わらないようにするなど、注意が必要です。

引用
厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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