【感染症ニュース】RSウイルス感染症が東日本を中心に再び増加傾向に。乳児の突然死につながることも。家庭内感染にも注意!
2022年10月13日更新
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乳児期早期の感染には特に注意を!
乳児期早期の感染には特に注意を!
 RSウイルス感染症が再び増加傾向にあります。

 国立感染症研究所が公開する感染症発生動向調査週報(速報データ)によると、第36週(9月5~11日)では全国の定点あたりの報告数は3週連続増加。

 特に宮城、茨城、栃木、埼玉、石川など、東日本の県で増加が目立っています。

RSウイルス感染症とは?

 RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。

 RSウイルスは日本を含め、世界中に分布しており、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも1度は感染するとされています。そして何度も感染と発病を繰り返します。

 症状としては、軽い風邪のような症状から重い肺炎まで様々ですが、初めて感染発症した場合は重くなりやすいと言われ、乳期、特に生後数週間から数か月という乳児期早期にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。

特に乳幼児は突然死につながることも!

 生後1か月未満の子どもが感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあり、感染を避けるための注意が必要です。

 RSウイルス感染症を予防するワクチンや、治療のための特効薬はありません。

 咳がひどくなる、喘鳴(ぜんめい=呼吸の際にヒューヒュー・ゼイゼイという音がする)などの症状が出た場合は、なるべく早くかかりつけ医などを受診すべき感染症です。

RSウイルスの流行時期は?

 RSウイルス感染症は例年冬に報告数のピークが見られていたのですが、去年は7月にピークがありました。

 今年も5月頃から東海地方を中心に近畿地方などで報告数が増加し、全国で見ると7月にピークがありましたが、8月には減少。しかし、9月に入り東日本を中心に増加傾向にあります。

 宮城県では第34週(8月22~28日)から第36週(9月5~11日)まで3週連続で患者報告数が増加。特に仙南、塩釜、仙台の地域で流行が見られます。

 宮城県疾病・感染症対策課によると「現在の定点あたりの報告数は2.31ですが、去年のピークには12を超えました。例年流行する時期ではあるので、これからの動向を注意しているところです」とのことです。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、9月に注意してほしい感染症の一つにRSウイルス感染症をあげています。

 「当初は東海地方や近畿地方が流行の中心でしたが、この夏は新型コロナウイルスによる移動制限が緩和され、RSウイルス感染症も流行していない地域に広がるのではないかと予測しています。また、新型コロナウイルスとの同時感染も心配で、小児科の先生は新型コロナウイルス感染症を診察する機会が少なく、RSウイルスが疑われたとしても、新型コロナの陽性反応が出た場合、治療できないケースも出てきます。特に乳幼児で呼吸困難な場合はすぐに入院をして呼吸の管理をする必要があるのですが、その判断が遅れて、症状が重くなり、命に関わることもあります。赤ちゃんの命を考えると、RSウイルス感染症は甘く見てはいけない感染症です」

どうすれば予防できるの?

 RSウイルス感染症は予防の難しい感染症ですが、飛沫感染と接触感染でうつるので、新型コロナウイルス感染症と同様の予防方法が有効です。

 日常の手洗いやマスク、そして子どもが触るおもちゃや手すりなどの消毒。

 そして、咳などの呼吸器症状がある場合は、人に会わないようにしましょう。

 特に0歳児や1歳児など、症状が重くなりやすい子どもには、なるべく接触しないようにすることが重要です。

 年長の子どもが外出先で感染し、乳幼児にうつすということもよくあるので、家庭内での感染対策を今一度確認しましょう。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2022年第36週
厚生労働省 RSウイルス感染症Q&A
宮城県感染症発生動向調査情報 第36週

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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