手足口病の患者報告が、引き続き増えています。
国立感染症研究所の第35週(8/29-9/4)の患者報告(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)によると、手足口病の患者数が増加しています。
手足口病の増加は、3週連続となります。
これまで、関東地方などを中心に流行をみせていた手足口病ですが、西日本や、東北地方にも広がりをみせています。
宮城県では、2022年8月25日に、患者の定点報告数が流行基準値を超えたとして、県内に注意喚起を行っています。
宮城県感染症対策課は…
宮城県感染症対策課によると「県内で、手足口病の流行は続いています。最新の定点報告では、横ばいとなっていますが、それでも、依然、高い水準にあることは間違いありません。例年通りであれば、今後、秋口にかけて、報告数は減少していくと考えられますが、感染動向を注視している状況です。集団発生などがあれば、調査・指導を行っていますが、まずは、家庭内で予防を心がけ、食事の前や排泄後の石けんと流水による手洗いの徹底等をお願いします。また、数年前には、家庭内で大人が感染する事例もありました。お子さんだけでなく、大人も注意してください。」としています。
手足口病とは?
手足口病とは、主にコックサッキーウイルスA6,A16、エントロウイルス71が引き起こす、例年夏に流行する感染症です。子どもが中心の感染症で、報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています。
主な症状としては、感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の裏などに2~3ミリの水疱性の発しんが出ますが、数日のうちに治ります。発熱は発症者の約3分の1に見られますが、あまりが高くならないことがほとんどです。治療方法としては、特効薬はなく、症状に応じた治療となります。
しかし、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など様々な症状が出ることがあります。子どもが手足口病にかかったら、経過を注意深く観察し、合併症に注意する必要があります。
感染経路は?
手足口病の感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染する)が知られています。保育施設や幼稚園などでは子どもたち同士の距離が近く、飛沫感染や接触感染をしやすい環境になっています。またおむつの取り替えの時に糞口感染をする可能性があります。
予防法
手足口病には有効なワクチンはなく、流水と石けんで十分に手を洗うことが感染対策になります。また、タオルの共用は避けてください。保育施設等でおむつの交換をするときには、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをすることが重要です。手足口病は治った後も比較的長い間(数週~数か月間)便の中にウイルスが排泄されるので、日頃からしっかりと衛生管理を行うことが重要です。
まとめ
手足口病の原因となるウイルスには、アルコール消毒が効きにくいため、流水とせっけんを使ってのこまめな手洗いが対策となります。
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏