新型コロナウイルスの新規感染者の増加に伴い、医療従事者への感染も広がっています。
中には、病院内でのクラスター発生により、病棟自体が閉鎖されるケースもあるとのことです。
取材した都内在住の33歳女性は、新型コロナ患者を受け入れる病院に勤務していますが、勤務先は、医療従事者の出勤停止の影響で、診療の制限を余儀なくされているとの事です。
夫に症状 すぐに出勤調整
7/31 夫が前日にのどの痛みを訴えはじめました。
同居家族の感染が疑われるケースであったため、勤務先にすぐに連絡。
職場では、同居家族などの「感染が疑われる場合」は、出勤を停止するルールですので、すぐに勤務の調整を始めました。
7月中旬頃からは、普段に輪をかけた職場の慌ただしさとなっていたことが脳裏に浮かび、申し訳ない気持ちになりました。
世の中でも、これだけ陽性者の方が増えている訳ですから、私の勤務先の職員・医療従事者の中にも、感染してしまった人、濃厚接触、家族に陽性者が出たため出勤できない方が増えています。
慌ただしいのは、新型コロナ病棟だけではありません。
人手が足りないため、どの病棟も毎日、目が回るような忙しさです。
現在、緊急性のないオペは延期していますし、外来も規模を縮小。
救急外来も、診療制限をかけなければならない状態です。
現在、稼働できる医療従事者の数は、感染者数の増加に伴って、第6波以前と比べかなり減っています。
夫妻で陽性
8/1 私が出勤を停止し、自宅で待機している間に夫の陽性が判明しました。
自宅待機初日となった、この日、私も、のどの痛みを感じ始め、その後、発熱しました。
8/2 発熱外来で受診。
当日は、発熱・のどの痛み・倦怠感・頭痛。特にのどの痛みが激しい印象でした。
治療薬がないため、処方された咳止めと解熱剤を服用。症状は、風邪そのものです。
8/3 この日に、私の「陽性」の判定が出ました。
発熱も続き、くしゃみが止まりません。
くしゃみが出るたびに、激しいのどの痛みを刺激し、ツライ時間が続きました。
発熱については、処方された解熱剤を内服しているときは、熱が治まるのですが、解熱剤が切れると発熱する状態。
この日が、陽性判定が出てから、一番の高熱が出て38.1℃でした。
8/4 発熱は、のどの痛みは継続。
声はガラガラで、発声しにくい状態でした。
8/5 発熱が続く。食欲がないため、この日、甘酒を摂ろうとしたところ、味覚と嗅覚に、違和感を覚えました。
嗅覚は鈍くなり、味覚に関しては、甘みが完全に分からない状態になりました。
胡椒・ジャスミンティは味が分かりましたが、ナッツ類・ドライフルーツ、食事のうどんを口にしても、味を感じない状態でした。
この日、鼻詰まりの状態もあったことから、味覚・嗅覚に違和感を感じたのでしょうか。
原因については分かりません。
8/6 発熱は治まり始めたものの、発症からこの日まで、発熱・のどの痛み・頭痛・倦怠感が続きました。
咳は、これらの症状を感じた後で、少し遅れて症状が出てきました。
8/8 平熱は戻ったものの、咳はまだ続いています。
現在も、療養を続けていますが、症状はかなり落ち着いてきました。
勤務先のルールでは、発症10日目でPCR検査を行い、陰性なら職場復帰可能です。
家庭内感染とは言え、仲間に負担をかけてしまい、心苦しい限りです。
陰性が確認でき次第、早く現場に戻りたいと考えています。
感染症の専門医は…
「現在、流行中の新型コロナウイルス感染症の主な症状は、のどの痛みや発熱が挙げられますが、味覚・嗅覚障害については、まれに症状を訴える方もおり、若い女性が多い印象です。また、出勤基準を、『発症から10日間が経過すれば、出勤可能』としている会社なども多いですが、医療機関で通常勤務に戻る前に、PCR検査を行うことは、院内感染を防ぐ意味合いでも、適切な対応と考えます。」としています。
まとめ
新型コロナウイルスの感染者の増加で、医療のひっ迫は続いています。
お盆休みに入り、帰省中に会食などを予定している方も多いと思いますが、感染リスクの高い行動については、控えるようにしてください。
お休み中は、気の緩みから、感染対策がおろそかになる場合があります。
これ以上、医療をひっ迫させないよう、マスクの適切な着用、こまめな換気、手洗いなどを心がけ、一人一人が感染から身を守り、広げないための行動を意識するようにしてください。
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏