新型コロナウイルス感染症の流行が続いています。
2022年8月4日の全国の感染者は、23万8735人。
翌5日には、東京都で3万7767人の新規感染者が確認されています。
現在、国の制度を利用し、各自治体は、医療機関の負担軽減などを目的に、抗原検査キットの配布を進めています。
一方で、抗原検査キットを使っての検査結果やその精度についての疑問が「感染症・予防接種ナビ」に寄せられています。
今回は、感染症の専門家に抗原検査について、伺いました。
奈良県・61歳女性
7月21日に喉の痛みがあり、22日に喉の痛みに加えて37度5分の発熱がありました。
抗原検査の結果は陰性だったので、ひと安心。
数日前にアデノウイルスに感染した孫を預かったので、それが移ったのだろうと思っていました。
が、24日から旅行の予定があったので、念のため23日に耳鼻咽喉科にてPCR検査を受けました。
結果はすぐに出ず、翌日24日朝ににドクターから電話を頂き、陽性ですと。
アデノウイルスとのダブル感染も考えられるとのことで、急遽、旅行をキャンセルし、自宅待機に入りました。
症状は喉の痛みと37度前後の微熱と少しの咳で、軽い夏風邪の感じです。
私は旅行があったので、用心の為、検査しましたが、この位なら受診しない人の方が多いと思います。
また、抗原検査では陰性でPCR検査で初めて陽性確認できましたが、抗原検査しか受けていなければ、安心して出かけてしまっていたと思います。
抗原検査の意味があるのか?疑問に思います。
ワクチンは3回受けているので、そのお陰で症状が軽いのなら、受けて良かったと思います。
いずれにせよ、市中には感染者がかなりいるのだろうと実感しています。
感染症の専門医は…
感染症の専門医で、新型コロナウイルス感染症の臨床医でもある大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「抗原検査の利点は、自分で行うことができ、結果が早く出ることです。『陽性』と分かれば、医療機関に診察を申し込むこともできます。しかし、抗原検査を1度行って、『陰性』が出たからと言って、安心な訳ではありません。抗原検査は、PCR検査と比べ、もともと感度が低いため、午前中に検査を行って陰性であっても、午後に再び検査をしたら、陽性が出る場合もあります。体調不良がある場合などは、1度ではなく、少なくとも、何日間かに渡って抗原検査の継続が必要です。また、検査時は、自分で、鼻に綿棒を挿入して鼻孔ぬぐい液を採取しますが、痛みや恐れなどから、正しい位置の手前で採取してしまうと、正確な検査結果は期待できなくなります。」としています。
まとめ
現在、各自治体などは、抗原検査キットの配布を進めています。
正しい抗原検査の方法については、配布された検査キットの取扱説明書をよく読んだ上で使用してください。
抗原検査キットを使用しての検査は、感度が低いことを前提に、発熱やのどの痛みが続いている場合は、検査も継続的に続ける必要があると思われます。
一度、『陰性』の判定が出たとしても、体調不良が続いている場合には、人との接触は避けるようにしてください。
また、感度の低い抗原検査で『陽性』が出た場合は、症状の有無にかかわらず、
感染したことを前提に行動しなければならない状態と言えます。
最後に、使用済み検査キットの廃棄に当たっては、使用済みのマスクを廃棄するときと同様、ゴミ袋にしっかり封をし、袋が破れている場合などは、二重にゴミ袋にいれるなど、散乱しないよう注意が必要です。
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏