【感染症ニュース】千葉県などで警報基準超え 手足口病に注意 夏場に気を付けたいことは?
2022年7月22日更新
半年以上前に更新された記事です。

流行地域は注意
流行地域は注意
 手足口病の流行が続いています。

 国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の小児科医療機関から報告された2022年第27週(7/4~7/10)データの手足口病の患者数は、9週連続で増加しています。

 千葉県・新潟県では、定点当たりの患者報告数が警報の基準値となる5.0人を上回っています。

 千葉県は、警報基準値を超えたことで、県民に注意喚起を行っています。

千葉県衛生研究所は

 千葉県衛生研究所によると、千葉県で警報基準値を上回ったのは、2019年以来で、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う行動制限が緩和されたことや手足口病の大きな流行が長らくなかったことで、千葉県下で、免疫を持っていない人が増えていることが一因と考えられると分析しています。

感染症の専門医は

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「手足口病は、昨年、東海地方から西日本にかけて流行をみせましたが、東日本では目立った流行は見られませんでした。今年は、関東などで、流行するおそれがあります。手足口病は、口の中や、手のひら、足などに水疱性の発疹が出たり、発熱などの症状が出る場合もあるのの、基本的に、予後は良好です。しかし、小さなお子さんは、口の中の水疱がつぶれることで、痛みを伴う場合もあり、水を飲むことなどを嫌がる場合もあります。暑さが厳しくなる季節ですので、保護者の方は、お子さんが脱水症状などにならないよう気を配ってあげてほしい」としています。

手足口病とは?

 手足口病とは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71などが原因で起こる感染症です。

 主に夏に流行し、例年患者報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めるという、子どもが注意しなければならない感染症です。

 症状としては、感染してから3〜5日後に、口の中や、手のひら、足などに2〜3ミリの水疱性の発疹が出ます。

 ほとんどの発病者は数日間のうちに治りますが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、様々な症状が出ることがあります。

 厚生労働省は、「ごくまれに髄膜炎や脳炎などが生じることがあるので、発熱や嘔吐、頭痛などがある場合は注意を要する」としています。

手足口病の感染経路と予防法

 手足口病の感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染が知られています。

 特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園では注意が必要です。

 手足口病には有効なワクチンも、発病を予防できる薬もありません。

 予防対策としては、接触感染を予防するために手洗いをしっかりすること。

 保育施設や家庭では、排泄物を適切に処理すること。

 手足口病は治ったあとも比較的長い期間便の中にウイルスが排出されるので、日頃からしっかりとした手洗いが、予防には重要です。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2022年第27週
厚生労働省:手足口病、手足口病に関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

関連記事


RECOMMEND