新型コロナウイルス感染症の患者数が、再び増加しています。
2022年7月7日の新規感染者数は、全国で47,977人。
翌8日は、東京都で8,777人。鳥取県では3日連続で過去最多を更新する243人の感染が確認されました。
現在、流行の中心であるオミクロン株BA.2に加え、新たな変異株「BA.5」が、全国各地で相次いで確認されています。
感染者数の増加の要因の一つが、新たな変異株「BA.5」への置き換わりと言われています。
感染の再拡大の現状と今後について、感染症の専門医に話を聞きました。
感染症の専門医は・・・
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「BA.5についての調査はまだ始まったばかりで、感染力の強さや、ワクチンの効果などは、これからわかってくると思います。しかし、これまでのデータを見ると、新型コロナウイルスの流行は、早いペースでBA.5に置き換わっていくものと思われます。以前、新型コロナウイルスに感染したことがある方でも、再び感染する可能性は十分にあります。引き続き、室内ではこまめな換気をこころがけるなど、感染対策をしっかり行っていくことが重要です。」と話しています。
オミクロン株「BA.5」とは?
変異を繰り返しながら、流行が継続している新型コロナウイルス。国内では令和4年2月頃に全国的にデルタ株からオミクロン株のBA.1系統に置き換わり、その後、さらにオミクロン株のBA.2に置き換わり、現在の感染の主流系統になっています。
オミクロン株BA.5は今年2月に南アフリカで初めて検出され、6月24日までに、63カ国から17,381件が報告されています。検出国は当初は南アフリカからが多くを占めましたが、現在はヨーロッパを中心に変化。BA.2からBA.5への置き換わりが進んでいる地域もあります。WHOのデータによると、世界的で検出される新型コロナウイルスの25%がBA.5とのことです。
日本においても、BA.5はすでに検疫および国内で検出されており、国内の一部の地域ではBA.5の検出割合が上昇しているとの報告があります。
「BA.5」にかかった場合の症状は?
国立感染症研究所の報告によると、BA.5が従来のオミクロン株と比較して重症度の上昇につながる証拠は見られないとしています。しかし、BA.2と比較すると、感染者増加の優位性や、免疫逃避が指摘されているといいます。動物実験で従来のオミクロン株と比較して病原性が上昇している可能性を示唆する結果もあることから、特に免疫不全者や重症者については、注意深く監視を継続する必要があるとしています。
あらためて、新型コロナウイルス感染症について、おさらいしましょう
これから暑い夏を迎えるにあたり、熱中症対策をとりつつ、新型コロナウイルスの感染も防止していかなければなりません。あらためて、感染の仕方と、感染防止の3つの基本をおさらいしてみましょう。
新型コロナウイルス感染症はどのように感染するのでしょう
新型コロナウイルスは、感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話などのときに排出される、ウイルスを含む飛沫、又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接接触することで感染します。
一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったりした混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあります。
また、ウイルスが付いたものに触ったあと、手を洗わずに、目や鼻、口を触ることにより感染することもあります。
感染防止の3つの基本
① 身体的距離の確保
・人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)あける
・会話をする際は、可能な限り真正面を避ける
② マスクの着用
・外出時や屋内でも会話をするとき、人との間隔が十分取れない場合は、症状がなくてもマスクを着用する。ただし夏場は熱中症に十分注意する。
③ 手洗い
・家に帰ったら、まず手や顔を洗う。
・手洗いは30秒かけて、水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)。
また日常生活では3つの基本に加えて、「3蜜」の回避、換気、まめな体温・健康チェックが効果的です。換気については、2方向の窓を開け、数分程度の換気を1時間に2回程度行うことが有効です。
夏の暑い日中は、窓を開けると室内の温度が上がるため、換気をためらうかもしれませんが、熱中症は短時間で重症化し、命に関わります。夏場は新型コロナウイルス対策よりも熱中症対策を優先した上で、換気を心がけましょう。
引用
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第18報)
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏