国立感染症研究所の第25週(6/20-6/27)速報データによると、手足口病の患者数に増加の兆しが見え始めています。
「手足口病」は、「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱」と並び、主に夏季に流行する感染症で、口の中や、手足などに水疱性の発疹が出ます。
関東では、千葉県や東京都の患者報告数が増えています。
流行地域と、その周辺では、感染がひろがる可能性もあり注意が必要です。
感染症の専門医は
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「手足口病は、去年は西日本では流行したものの、東日本ではあまり流行しませんでした。しかし、国立感染症研究所の第25週(6/20-6/26)速報データでは、関東地方の患者報告数が多く、東日本、そしてその波及として西日本にも流行が広がる可能性があります。」と話しています。
手足口病とは?
手足口病とは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71などが原因で起こる感染症です。
主に夏に流行し、例年患者報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めるという、子どもが注意しなければならない感染症です。
症状としては、感染してから3〜5日後に、口の中や、手のひら、足などに2〜3ミリの水疱性の発疹が出ます。
ほとんどの発病者は数日間のうちに治りますが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、様々な症状が出ることがあります。
厚生労働省は、「ごくまれに髄膜炎や脳炎などが生じることがあるので、発熱や嘔吐、頭痛などがある場合は注意を要する」としています。
手足口病の感染経路と予防法
手足口病の感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染が知られています。
特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園では注意が必要です。
手足口病には有効なワクチンも、発病を予防できる薬もありません。
予防対策としては、接触感染を予防するために手洗いをしっかりすること。
保育施設や家庭では、排泄物を適切に処理すること。
手足口病は治ったあとも比較的長い期間便の中にウイルスが排出されるので、日頃からしっかりとした手洗いが、予防には重要です。
引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2022年第25週
厚生労働省:手足口病、手足口病に関するQ&A
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏