【梅毒 要注意】20~24歳女性の患者報告数が最多 妊娠中や妊娠を希望している場合は早めに梅毒の検査を受けましょう
2022年5月27日更新
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梅毒症例の性別年齢分布 2022年第1四半期(参照:国立感染症研究所HP)
梅毒症例の性別年齢分布 2022年第1四半期(参照:国立感染症研究所HP)
 国立感染症研究所の2022年第19週(5/9~15)IDWR速報データによると、梅毒の患者報告数が増加傾向です。昨年同時期の累積患者報告数は2,200人でしたが、2022年第19週(5/9~15)時点では3,630人です。比較すると約1.6倍となり、昨年を上回る数値で推移していることから、今後の発生動向に注意が必要です。

梅毒とは

 梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。

 早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。

感染症の専門医は

 感染症専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師は、梅毒が性別関係なくひろがっており、特に若い人にはあまり知られていない感染症ということから、注意を促しています。

 (安井医師)昨年の同時期と比べても、患者報告数が増えています。今年はこのまま患者報告数が増え続けると、年末には1万人を超えると考えられ、過去最多の患者報告数となる可能性もあります。性別関係なく患者報告数が増えており、若い年齢層には、あまり知られていない感染症ということが気がかりです。特に女性では、梅毒に感染したと気づかないまま妊娠して、先天梅毒の赤ちゃんが生まれる可能性があるので、注意が必要です。

 妊娠中でも治療は可能です。ほとんどの産婦人科では、妊婦健診の際に血液検査してもらえます。妊娠を希望している場合も、早めに梅毒の検査を受けましょう。

地域別 累積患者報告数が多い順(2022年第19週時点)

・東京都(1,093人)
・大阪府(425人)
・愛知県(223人)
・埼玉県(155人)
・神奈川県(148人)

20~24歳の女性に患者報告数が最多

 国立感染症研究所によると、2022年第1四半期(第1週~13週)までの性別・年齢別で、女性で最も多いのは20~24歳までが290人と、女性全体の38%にあたります。2022年の報告数の中で、性別・全年代と比較して最も多い数値となっています。男性は35~39歳が219人と最も多く、男性全体の13%にあたります。男性は25歳から49歳までの年齢層(5歳ごとの分布)が200人を超えており、今後の発生動向に注意が必要です。

先天梅毒の症状

 先天梅毒は、梅毒に感染している母体から、胎盤を通じて胎児に伝播される多臓器感染症です。

 早期先天梅毒の発症年齢は、生まれた時~生後3か月であり、出生時は無症状で、身体所見は正常な子どもが約3分の2います。生後まもなく水疱性発疹、斑状発疹、丘疹状の皮膚病変に加え、鼻閉、全身性リンパ節腫脹、肝脾腫、骨軟骨炎などの症状が認められます。

 晩期先天梅毒では、乳幼児期は症状を示さずに経過し、学童期以後にハッチンソン3徴候と呼ばれる、実質性角膜炎、内耳性難聴、ハッチンソン歯(歯の形成異常)などの症状がみられます。

母子感染は早期発見と適切な治療で防げます

 梅毒は妊娠中に治療をおこなうことが可能ですが、選択できる治療薬が限られるなど、母体と胎児への影響を考えながらおこないます。妊娠中の治療により、胎盤を通して胎児も治療可能ですが、治癒できない場合には、新生児は出産後に改めて治療をします。

 症状の進行状況により、選択できる薬や、治療の期間も変わります。赤ちゃんに梅毒を感染させないためにも、妊娠したら早めに妊婦健診を受け、必要な場合にはパートナーも含めて、治療をおこないましょう。

引用:国立感染症研究所「梅毒とは」
「日本の梅毒症例の動向について」 (2022年4月6日現在)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

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