国立感染症研究所のIDWR2022年第13週(3/28~4/3)のデータによると、全国のインフルエンザ定点医療機関から報告された患者報告数は、約15人です。
今シーズンは、これまでのところ昨年に引き続き、インフルエンザの患者報告数が少ない状況です。昨年は、インフルエンザが流行する兆候はみられず、感染症発生動向調査が始まって以来「流行が認められなかった初めてのシーズン」となりました。
2年連続で、冬季にインフルエンザの患者報告数が少ないという近年にはない状況ですが、今後なんらかの影響があるのでしょうか。感染症専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師にお話を伺いました。
今後インフルエンザが流行した場合は
(安井医師)今シーズンもこれまでのところ昨年に引き続き、冬季を中心とした本格的な流行はみられませんでした。
インフルエンザにかかっていなかった人が2年連続いるということは、感受性者(感染する可能性のある人)が蓄積している状況といえます。次のインフルエンザの流行時には、大きな流行になる可能性も考えられますので、注意が必要です。
※インフルエンザの1シーズンは、第36週(8月末~9月初旬)から翌年の第35週までです。
2021/2022シーズンは、2021年第36週から2022年第35週までとなります。
インフルエンザ(季節性)とは
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え、3月頃まで続きます。
症状
インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快しますが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。
※感受性者…感染する可能性のある人(厚生労働省HPより)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏