4月13日に開催された新型コロナ対策の専門家会議で「現在の感染状況は、大都市部では感染レベルは高いものの、増加速度は比較的緩やかであることに対し、一部の地方都市では急速に感染が拡大しており、今後の動向を注視する必要」としています。
また「北海道、新潟県や沖縄県などでは、全ての年代で新規感染者数が増加している」として、東京都や大阪府などの大都市圏だけではなく、地方都市で全年代での新規感染者数が増えていると報告しています。現在の感染者数増加の原因としては「接触機会の増加と、BA.2系統への置き換わりが強く影響していると考えられる」との見解を示しています。
大阪で新型コロナ患者の診察に当たる、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に、現在の状況について取材しました。
医療体制の崩壊につながりかねない事態
(安井医師)現在の状況は、新規感染者数が増加傾向にあることから、BA.2(オミクロン株の別系統)の感染力が強く、第7波が始まっているのではないかという印象です。今後、ゴールデンウィークで連休中に人出が増え、さらに感染者数が増える可能性もあります。
今回の新規感染者数の増加に伴い、気になる点として、BA.1の時に流行していない地域でBA.2に置き換わりがすすみ、流行し始めているケースが出てきています。過去に流行していなかった地域で、新規感染者数が増加していることから、それだけBA.2の感染力が強いと考えられます。
今までにそれほど流行がみられなかった地域で、患者数が急増し、これまでに経験したことがないような患者数の増加が見られたときに、その地域の医療体制が局地的に崩壊してしまうということは十分に考えられます。医療崩壊が起きてしまうと、入院が必要な方が入院できないといったことも出てきます。特に、高齢者の多い地域は注意が必要です。
国内では、3回目接種がすすんでいます。接種できる状況にある場合は、高齢者の重症化予防としてもワクチン接種をおすすめします。
基本的な感染対策を続けていきましょう
新型コロナの専門家会議では「特に、岩手県、秋田県、福島県、新潟県、長野県、愛媛県、大分県、宮崎県及び鹿児島県では、直近1週間の移動平均がすでに昨年末からの感染拡大におけるピークを上回り、また、岩手県では直近の今週先週比が1.5となっている」といった報告がある事から、地方都市における感染拡大にも注意が必要です。
ワクチン接種については「未接種者へのワクチン接種とともに、初回接種から6か月以降の3回目接種によりオミクロン株に対してもワクチンの有効性が回復することから、3回目接種を着実に実施していくことも必要。また、ワクチン接種者においては症状が遷延する(罹患後症状)リスクが低いとの報告がある」としています。
重症化の予防として、まだワクチンを接種できていない方も含め、早めのワクチン接種をおすすめします。
オミクロン株においても、基本的な感染対策は有効とされています。今一度、自分も周りも感染しているかもしれないという意識をもって、基本的な感染対策を続けていきましょう。
【基本的な感染対策】
・不織布マスクの正しい着用
・流水・石鹸を用いた手洗い、アルコール消毒による手指衛生
・密閉空間を避け、部屋の換気をこまめに行う
・重症化予防・発症予防のためのワクチン追加接種
引用:厚生労働省「第80回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(令和4年4月13日)
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏