まん延防止期間が終わり、飲食店での外食や、外でバーベキュー等を楽しまれる方も多いと思います。
その一方で、食事後にカンピロバクターや腸管出血性大腸菌といった細菌やウイルスに感染する方も多いようです。これらの細菌やウイルスに感染した場合、どのような症状が出るのでしょうか?記事の後半では、予防のポイントについてお伝えします。
カンピロバクターとは?
カンピロバクターは鶏や牛などの家畜の腸にいる細菌です。生の鶏肉や牛肉に付着しており、内臓の部分にも存在しています。生肉に触れた手やまな板などから、野菜やほかの食品にも菌が付着します。少量の菌でも感染します。主な症状は胃腸炎で、潜伏期間が2~5日間と他の胃腸炎よりやや長いことが特徴です。その他に下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感といった症状が出ます。
腸管出血性大腸菌(O157やO111など)とは?
腸管出血性大腸菌は、ヒトの体内で常在する大腸菌ではなく、牛や羊などの家畜や他の動物が保菌しています。牛の生肉や生のレバー等を食べることで、感染してしまう可能性が高くなります。感染後3~5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後で血便となります。発熱は軽度です。特に抵抗力の弱い子どもや妊婦、高齢者は、重い症状になりやすく注意が必要です。
感染症の専門医は
感染症専門医の大阪府済生会中津病院の安井良則医師によると、1.鶏肉・牛肉・豚肉など肉類は生食をしないこと、2.よく火を通して食べることが大切といいます。
(安井医師)まん延防止期間が明けたので、飲食店での外食や、外でバーベキューをする機会が増えるかと思います。特に肉類は、中心部までよく火を通して食べるようにしましょう。目安は75℃で1分以上、加熱してください。
鶏肉は新鮮だからといって、生で食べるとカンピロバクターに感染するリスクがあります。同様に牛の生肉や生レバーも加熱不十分なまま食べると、腸管出血性大腸菌に感染するリスクがあります。
その他、豚肉も生や加熱不十分な状態で食べると、カンピロバクターやE型肝炎ウイルス等に感染するリスクがあり、注意が必要です。E型肝炎ウイルスはイノシシやシカといった、ジビエと呼ばれる肉からも感染が確認されています。どの肉類も、しっかり中心部まで加熱して食べるようにしましょう。
バーベキュー時の5つのポイント
厚生労働省では「肉の生食はとても危険」として、注意を呼びかけています。細菌やウイルス、寄生虫は熱により死滅するので、加熱により食中毒を防ぐことができます。このような病原体は、肉やレバーの内部まで入り込んでいることがあるので、75℃で1分間以上加熱し、中心部まで火を通すことが大切です。内部まで、白っぽく色が変化したことを目安にしてください。
肉を焼く際に使用する箸やトング、調理する方の手などには、生の肉から病原体が付いてしまいます。生肉を取り扱う箸などは専用のものを使い、食べる際には、必ず別の清潔な箸を使いましょう。また、生の肉を触った後は、しっかりと手を洗いましょう。
特にバーベキューは、火加減が難しく、生焼けになることが多いことや保存温度が高くなりやすいことに加えて、箸などの器具の使い分けや洗浄が不十分になりやすいので注意しましょう。
【バーベキュー時の5つのポイント】
1.十分に火が通り、肉の中心部の色が変わるまで加熱してください。
2.75℃で1分間以上加熱しましょう。
3.焼く前のレバーや肉には、専用のトングや箸、皿を使いましょう。
4.生の肉を触った後は、しっかりと手を洗いましょう。
5.肉を調理した包丁やまな板は、二次汚染を防止するため、きれいに洗い熱湯をかけましょう。
引用:厚生労働省HP「お肉はよく焼いて食べよう」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏