オミクロン株の置き換わりがすすみ、「軽症」という言葉が多く聞かれるようになりました。
軽症とは、どのような症状のことをいうのでしょうか?発熱が39度、40度でも「軽症」とされる場合もあるそうです。
この疑問に、新型コロナ患者の診察にあたる大阪府済生会中津病院の安井良則医師に、ご回答いただきました。
「軽症」とはどのような症状?
(安井医師)新型コロナの重症度の基準に、発熱や痛みの程度は関係ありません。厚生労働省による軽症の定義は、呼吸器症状がない、もしくは咳のみで、肺炎の所見がみられない事とされています。そのため、発熱が40度あっても、熱によって痙攣が起きていても、基本的には「軽症」という扱いとなります。その次の段階で「中等度Ⅰ」だと、既に肺炎を起こし、呼吸困難を起こしている場合もあります。
「軽症」という言葉だけで、症状が軽いから感染しても大したことないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、コロナウイルスは肺炎を起こしやすいウイルスです。軽症といっても、39度の発熱が1週間以上続く方もいます。初めは軽い症状のように思えても、急に症状が進行して悪化する事もありますので、体調の変化に注意が必要です。
厚生労働省の重症度の基準
厚生労働省が発行している「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」によると、診断の際の重症度の基準は以下のように定められています。
・「軽症」⇒肺炎の所見なし、酸素飽和度96%以上
・「中等度Ⅰ呼吸不全なし」⇒呼吸困難・肺炎の所見など、酸素飽和度93%より大きく、96%より小さい
・「中等度Ⅱ呼吸不全あり」⇒酸素投与必要、酸素飽和度93%以下
・「重症」⇒ICUに入室、人工呼吸器が必要
「軽症」という言葉から、軽い症状にも聞こえますが、実際は発熱が40度あっても軽症扱いとなるなど、通常の言葉の意味合いとは違う、という点に注意が必要です。また、軽症であっても急に症状が進行して悪化する事例もありますので、自宅療養の際は保健所の指示に従い、健康観察をしていきましょう。
引用:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第6.1版」(2021年12月28日改訂)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏