企業の担当者が新型コロナ対策をする場合、どのような事に留意したら良いのでしょうか。以下、基本的な予防対策として考えられる点を挙げています。
・手洗い・マスク着用・三密を避ける
・テレワークを推進する
・発熱、倦怠感などがある場合は、出勤を控え、医療機関を受診する
・公共交通機関で通勤する場合は、混んでいる時間帯を避けて、時差出勤する
しかし、基本的な予防対策として考えられる以外の疑問もあります。
・会社の付き合いがあるので、会食はしても良い?
・喫煙所はどうすべき?
この疑問について、大阪府済生会中津病院の安井良則医師にご回答いただきました。
感染症専門医の見解
(安井医師)本人がコロナ陽性となった場合に仕事を休むということはあっても、その方の家族が陽性となった場合、もしくは濃厚接触者となった場合について、あらかじめ企業としての対応を決めておくと良いでしょう。
例として、小学生のお子さんの学校でコロナ陽性者が出て、濃厚接触者になったとします。可能であれば、テレワークにするなど、事前に勤務先と話し合っておくことができます。その場合、親が濃厚接触者でなければ、出勤を禁ずるものではありません。
喫煙所に関しては、建物の中で密閉空間だと感染リスクは高くなるので、使用しないよう閉鎖する事をおすすめします。屋外等の開かれた空間で1.5m離れて、黙って吸い、会話をする際はマスクを着用して話す等の対策ができるかもしれません。
会食については、大阪府や広島県は4人以内のマスク会食を推奨しています。食事する際はマスクを外して黙って食べ、会話する際はマスクを着用しましょう。お酒を飲むと、気づかないうちに声が大きくなってしまったりする事もあり、エアロゾル感染のリスクも高まります。感染が拡大している状況ですので、お酒は自宅で楽しんでいただくことをおすすめします。
企業で会食のルールを決める際には、各自治体で、会食の人数は何人までと推奨されていますので、参考にして決めることも有効です。
厚生労働省の見解
厚生労働省はコロナ対策の企業向けQ&Aで、感染防止に向けた柔軟な働き方(テレワーク、時差通勤、時差休憩)を推奨しています。その中の一つである時差休憩について、以下のように記載されています。
「新型コロナウイルスの感染リスクとして、職場においては、特に「居場所の切り替わり」(休憩室、更衣室、喫煙室など)に注意が必要とされています。こうした観点から、昼休みの時間を分散させることにより、ランチタイムにエレベーターや食堂に人が集中することなどを抑制することは、新型コロナウイルスの感染防止対策として有効と考えられます。
労働基準法では、休憩時間は労働者に一斉に与えなければならないこととされており、昼休みを時差取得とする場合には、労使協定を締結して、①対象者の範囲、②新たな昼休みの時間の2点を、取り決めていただくこととなります。また、その際は、労働者の意向などもよく確認いただきながら、職場の実情に応じて取り決めていただくことが重要です。」
新型コロナ感染経路の一つでもある「密」を避ける上でも、時差休憩は有効であると考えられています。企業として実施が可能であれば、労働者の意向を確認した上で、感染防止対策の一つとして検討できるかもしれません。
引用:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏